〈米需給俯瞰〉令和2年産水稲 9月15日現在、作況指数101「平年並み」
〈主食用生産量18~26万t過剰、需要量見込み甘く古米在庫のしかかる〉
農林水産省は9月30日、令和2年産水稲の9月15日現在作柄を全国平均作況指数101の「平年並み」と発表した。主食用米の供給量は7月指針を18~26万t上回る過剰ペースで、そのまま需給見通しに当てはめれば来年6月末在庫は221万tという空前の規模になる見込み。
農林水産省は9月30日、令和2年産水稲の9月15日現在作柄を全国平均作況指数101の「平年並み」と発表した。主食用米の供給量は7月指針を18~26万t上回る過剰ペースで、そのまま需給見通しに当てはめれば来年6月末在庫は221万tという空前の規模になる見込み。
この日の会見で農林水産省の政策統括官付農産企画課・佐藤一絵課長は、「需給調整のための政府米追加買入は考えていない」と明言。加えて、7月指針では需要量見込みを甘く見ているきらいがある上、令和元年産の在庫がまだまだ捌けきれていない。この段階で、「まだまだ続く過剰基調」が確定した恰好だ。
9月15日現在だと作付面積は青刈りなどを含んでいるが、主食用の作付見込面積は前年産を1.3万ha 下回る136.6万ha。作況指数「平年並み」といっても、実際の単収(10a当り収量、農家等フルイ目ベース)は前年を5kg下回る517kg。
現時点での主食用の予想収穫量は前年産を2.3万t下回る734.6万tとなったものの、基本指針の見込み(709~717万t)を18~26万t上回る「過剰」ペースとなった。基本指針での需要量見込みが甘いこともあるが、ここに令和元年産の在庫が重くのしかかる。令和元年産は、8月末現在で契約残(集荷数量から契約数量を差し引いた残)が4.8万t(前年同期2.7万t)もあり、要販売数量に至っては54.3万t(同42.7万t)もある。
現実に同じ8月末の在庫は、出荷段階で60万t(同47万t)、販売段階で24万t(同18万t)、計84万t(同66万t)。全中がすでに20万tの隔離(引取の先送り)を決めているものの、その程度で解消される規模ではない。
〈米麦日報2020年10月1日付〉