「今年ジャブジャブ」というハズレようのない予言/コラム・月曜プラザ

令和3年産主食用米生産量の目安の積み上げ(単位=t、注=生産量の目安を設定しない東京、神奈川、大阪、島根は、本紙米麦日報で前年の生産量をそのまま当てはめた。令和3年産の作付面積のみ示している県は、本紙が令和2年産の平年単収で掛け戻している。また幅がある場合は中間値を採用した。令和3年産の全国計は、まさしく47都道府県の合算である。)
本紙「米麦日報」で“好評”連載中の「令和3年産米の地域別『生産量の目安』」。ええい、面倒くさい。“生産数量目標”の市町村別“配分”状況を各県ごとに追っているものだ。コトバがいちいち、ややこしくて困る。あれは概ね生産量10万tの県のみピックアップしているので、47県すべては網羅しない。それでも「生産量の目安」だか「生産数量目標」だかの数値だけは、47県すべて聞き取り終えた。

連載はまだ途中だが、一足先に47県分を一覧したのが表(令和3年産主食用米生産量の目安の積み上げ)だ。国が基本指針で示した令和3年産「生産量の目安」は、693万t。これに対し、47県の「生産量の目安」を合算してみると、708万3,352t。およそ15万t過剰ということになる。

主食用米等の需給見通し(単位=万t)

主食用米等の需給見通し(単位=万t)

 
思い出していただきたいのだが、2020年7月〜2021年6月の需要量見通し「711万t〜716万t」は、甘すぎる。というか、6月末の在庫200万tをターゲットに逆算しているのだから、甘くなりもする。まず2020年4〜6月のCOVID-19(新型コロナウィルス肺炎)の影響など「特別な要因による需要減少量」を、5万tと推計してみせた。ここがまず甘いのだが、であれば翌年の需要量見通しから5×4で20万t差し引けばいいものを、半分の10万tしか差し引いていない。2021年後半の需要回復を「期待」しているのである。
 
甘すぎる。最初の5万tは仕方ないとして、ちゃんと20万tを需要量見通しから差し引くとどうなるか。前述の47県の「生産量の目安」の積み上げ708万tと合わせて考えると、2022年6月末在庫は「230万t〜235万t」になる勘定だ。現在の食糧法になって以降、最大の6月末在庫は2015年(平成27年)6月末の「225.8万t」だから、これを上回る在庫に達することになる。

加えて、「708万t」という生産量は、コトバはどうでもいいが、あくまで2021年が平年作だった場合の数値だ。作況指数が1ポイント上がれば約7万t上積みされる。例えば作況101「平年並み」であっても、生産量は715万tに跳ね上がるわけだ。
 
何が云いたいかというと、量の多寡は別にして、「令和3年産主食用米の需給はジャブジャブになる」という当たり前のことが、ハッキリしたということだ。となると自動的に米価は暴落する。しかし、これはごく一時的なものだ。放っておけばいいではないか。「単価を上げなければ農家に米を作っていただけなくなる時代」は、すぐそこまで来ているのだから。(岡野)
 
〈米麦日報2021年3月1日付〉