尾西食品「アウトドア×防災」テーマにメディアセミナー、大学教授とアイドルが楽しみながら防災食を食べる習慣呼びかけ
防災食市場はCOVID-19(新型コロナウィルス肺炎)禍や相次ぐ災害を背景に伸長している一方、いざ災害に見舞われた際には普段からの備え・意識づけが重要となる。そこで同社は、「楽しみながら、普段からいかに防災食を食べてもらうか」を課題に据え、今回のセミナーを開いた。講師に招かれたのは、神戸親和女子大学の中溝茂雄教授と、「さばいどる」(サバイバルアイドル)の「かほなん」だ。中溝教授は次のように語った。
神戸親和女子大学・中溝茂雄教授/尾西食品メディアセミナー
〈中溝茂雄教授〉
1995年(平成7年)1月17日の阪神・淡路大震災の経験から、現在は防災教育に力を入れている。発災当時、私は兵庫県・須磨区の鷹取中学校で理科の教師をしており、学校は震度7の激震地だった。校舎に影響は無かったものの生徒714名のうち約7割が自宅に住めない状況だったことに加え、学校は県内最大規模の避難所だったので発災直後から近隣の住民が多く集まり、私はそこで避難所運営の責任者を務めることになった。
最初の3日間はいかに自力で生き残るのかがポイントで、サバイバルスキルが求められる。3日間は配る食事が無かったが、倒壊した自宅から食材を運び、グラウンドにテントを張る家族も多かった。基本的には1日1食だ。
1週間後にようやく食材供給が始まったが、最初に必要だったのはお湯の供給だ。当時はカップ麺がメインだったこともあるし、寒いときは冷たい食べ物が喉を通らない。徐々にカセットコンロを1家庭に1台配布できるようになった。2週間経ってようやく外部から温かい汁物など炊き出しが届いた。とはいえ、3週間経った時点でも校内だけで1,200人の被災者がいたので、やはり避難所では食料の提供が一番重要な要素だった。校外の人も含めると2,000~3,000人に配給する必要があった。
当時は子どもたちもボランティアとして配給を手伝い、炊き出しのテントも作り、4月頃からはボランティアが通勤や通学で出ていく人に弁当配布もした。最終的に避難所が役目を終えたのは8月末だった。
学校や自治体は年1回の備蓄食品の更新タイミングで、子どもたちがそれを調理して食べる取組を進めることが重要だ。小学生・中学生の間にそれぞれ1~2回程度で良いので、私は推奨している。今は家庭科の授業でサバイバル的な学習をするので、やはり野外炊事の経験も重要だ。ただ、子どもたちへのアレルギー対応の問題があるので、昔ほど簡単にはできなくなってしまっている。尾西食品がアレルギー対応の商品をたくさん出しているので、もっともっとアピールしてもらいたい。
さばいどる兼YouTuber(登録者数約40万人)のかほなんは、水が無い場合に清潔な水を作る方法などのサバイバルスキルを披露し、その水で尾西食品の「CoCo 壱番屋監修 尾西のカレーライスセット」を作った。なお、かほなんは車中泊の旅の最中で、北海道・旭川のキャンプ場からオンラインで参加した。
楽しみながらアウトドアや防災食に触れるコツを訊かれたかほなんは、「キャンプを一回やるだけで学べることが多い。テントはすごく便利で、被災時に体育館に集まった時でも一人用テントが1つあれば目隠しにもなる」「防災訓練・教育と考えるとすごく固く感じる。私たちがやるアウトドアの経験は楽しいことの延長線上なので、子どもたちは楽しいこととして感じる。キャンプを一から十まで全てやるとハードルが高いけれど、キャンプ飯、プチキャンプをベランダでやってみるだけで、いざという時に役立つ。被災時は配給も大事だけど、まずは自分たちの家族が数日過ごせるかがもっと大事。普段から防災食を楽しく食べる習慣があると絶対に役立つ。ぜひ、9月1日の防災の日に一度リュックの中をチェックして、ベランダでのキャンプをやってみてもらいたい」と呼び掛けた。
〈米麦日報2021年7月19日付〉