北海道産「きたほなみ」、開花時の天候が収量を左右することが判明/農研機構等

農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)と東京農業大学は、「きたほなみ」を主要品種とする北海道内主要産地の小麦収量は、開花期と前後2日を含む5日間の天候が大きく左右することを明らかにした。

晴天時と比較して曇天・雨天時には減収となり、最大で35%の差が出ると試算している。これまでは、2016年と2018年に生じた収量が3~5割まで落ち込む低収量年が出現する原因が分からないでいた。

今回の研究では、「秋まき小麦の開花期の曇天・雨天は収量低下リスクであることが分かった」としており、農研機構では、「今後、生育を前倒しする栽培手法や、降雨の少ない時期に開花する品種等、開花期の悪天を避けるための技術開発進めることで、生産安定化技術に繋がると期待できる」としている。

このリスクは「きたほなみ」のものであり、それ以前の「ホクシン」は、開花後の湿潤気象条件下で発生しやすい赤かび病が収量減少の主要因だったのに対し、耐病性の改良が進んだ「きたほなみ」では、病害が軽減された一方、受粉に関わる開花中の気象条件が収量を左右することが分かった。この結果、「融雪剤の散布や適切な播種時期に作業する等、生育を速める技術が収量の安定に繋がることが示唆された」としている。

〈米麦日報2021年12月22日付〉