全米販、業界10団体に「コメ諸経費高騰にご理解のお願い」、「企業努力に限界」婉曲的に価格転嫁への理解求める
組合員である精米卸各社の搗精・輸送など諸経費が軒並み高騰しているとした上で、「今までは各社の企業努力によって耐えてきたが、限界が近づいている」と窮状を訴えた。また、低水準で推移する米価について、「単に昨秋収穫された米の産地出荷価格が下がったからに過ぎない」とし、婉曲的に価格転嫁への理解を求めた。
送付先10団体は、(一社)全国スーパーマーケット協会、(一社)チェーンドラッグストア協会、(公社)日本炊飯協会、(一社)日本スーパーマーケット協会、日本生活協同組合連合会、日本チェーンストア協会、(一社)日本DIY・ホームセンター協会、(一社)日本フードサービス協会、(一社)日本フランチャイズチェーン協会、(公社)日本べんとう振興協会。
1.コメ諸経費高騰にご理解を
さまざまな食品の価格が上昇していることは、周知の通りかと思います。原因は、原材料価格の高騰もありますが、電力費、燃料費、輸送費、各種資材費、人件費など諸経費が軒並み高騰していることです。
ところが米に限っては、今のところ値上がりしていません。それは、単に昨秋収穫された米の産地出荷価格が下がったからに過ぎません。しかし、私どもの組合員各社が精米に加工し、商品として皆様にお届けするまでの諸経費は、他の食品と同様に増嵩しており、今までは各社の企業努力によって、耐えてきたところです。しかし、それももう、限界が近づいています。どうか以下の諸経費高騰の実情にご理解賜りますよう、お願い申し上げます。
2.高騰を続ける諸経費
〈電力費〉昨年初頭から、毎月0.7~1.6%の値上げが連続しており、今も続いています。当組合調べによると2.5~60%の値上げとなっています。頼みの綱の「第3の電力会社」がほぼ撤退したため、電力各社とも強気の姿勢を崩さず、受け容れざるを得ない状況です。
〈燃料費〉一昨年末あたりから、毎月2.8~10.1%のハイペースで値上げが連続しています。今後もとどまるところを知りません。当組合調べによると7.3~41.7%の値上げ要請を受けています。受け容れざるを得ない状況です。
〈運賃〉今は落ち着いているものの、当組合調べによると5~60%の値上げ要請を受け容れた後の話です。早晩、再び上昇傾向に陥るのは目に見えています。
〈包装容器代〉米袋の価格は主原料であるナフサの値動きに、ほぼ連動します。その米袋価格、某社は2019年5月の最初の値上げから今年4月まで、累積30~35%値上げしています。当組合調べによると6~50%の値上げ要請を受けています。
電力費(法人向け高圧)
民生用灯油価格(店頭)
道路貨物輸送価格指数
ナフサ価格
コシヒカリ5kg小売価格
3.企業努力にも限界が
ところが米の店頭価格は上がっていません。これは、中食・外食向けのいわゆる業務用の納品価格も同様です。それどころか、一部の実需からは値下げ要請まで受けていることを確認しています。
中食おにぎりなどで店頭価格を値上げした例はありますが、原料米の納品価格は据え置かれています。諸経費高騰分を吸収する企業努力にも、限界があります。
以上、どうかコメ諸経費高騰などの諸事情にご理解を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。
〈米麦日報2022年6月13日付〉