東洋ライスと大阪・泉大津市が包括連携協定、食料安保と健康増進図る
東洋ライス(株)(雜賀慶二社長)は12月6日、大阪府泉大津市と包括連携協定を締結した。今後、金芽米を通じた健康増進を目指し、取り組みを進める。
同日、泉大津市で締結式を実施。南出賢一市長は「かねてより日本の医療費拡大や持続可能な農業について課題意識を持っていた。また昨今、食料安保が叫ばれるなか、市民の食料を如何に確保し、健康増進を成し遂げるか考えていたところ、末松(広行)元農林水産事務次官から雜賀社長をご紹介いただき、今回の締結に繋がった」と経緯を説明した。
泉大津市は農地面積が3%と割合が少なく、これまでも和歌山県内の友好都市(日高川町)から米を430kg購入し学校給食で提供するなど、食料の確保に関連する取り組みを進めてきた。そして今回、両者が取り組むプロジェクトは以下の2点だ。
〈1〉マタニティ応援プロジェクト
妊婦を対象に東洋ライスが提供した金芽米を配布し、健康増進を図る事業。まず妊娠届出時に、全員を対象に2kgを配る。届出時に事業の概要を説明し参加した妊婦には、さらに出産まで毎月最大10kgを送付。妊婦は代わりに身体データの提供やアンケートに回答するという流れだ。同市によると年間約600人が出産しており、事業に参加するのはその半数(300人)を見込んでいる。出産までの送付回数は1人当たり7~8回を想定しており、事業にかかる費用はほぼ東洋ライスが負担する予定だ。
〈2〉お米の流通に関する実証実験
泉大津市内の学校給食で使用する米について、新たなサプライチェーンを構築して金芽米を提供する事業。現状の米流通は仲介業者が多いことから、同市は「有機JAS米などを購入する選択肢がない」「コストが不明確」などを課題としていた。
今回の実証実験では、まず泉大津市が1kg当たり600円(予定)で原料となる玄米(有機JAS・特栽米など)を直接購入する。東洋ライスが保管~金芽米加工を担い、給食センターなどの現場に配送。高品質の米を低価格で購入し、生産者の所得向上も目指す。
現在、同市には小学校8校(生徒数約3,400人)、中学校3校(約1,800人)があり、就学前児童も合わせると学校給食における米の年間使用量は約70tとなる。予算は未確定だが「50~60t購入予定」としており、米の購入費用は市が負担、保管~流通経費は東洋ライスが負担する予定だ。
〈米麦日報2022年12月7日付〉