羽田空港で日本米PR、多品種試食に訪日客「これだけ米に注目して食べたのは初めて」/全米輸
全米輸(〈一社〉全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会)は3月17日、羽田空港第3ターミナルで日本産米のPRイベントを実施した。
農林水産省の「品目団体輸出強化支援事業」を活用したもので、インバウンド客を対象に日本産米の試食を行い、アンケートを集計。ブースには約200人が来場した。
会場は米俵を担いだ歌舞伎絵や富士山、桜をあしらい“和”をアピール。試食で提供したのは、北海道ゆめぴりか・岩手銀河のしずく・福島天のつぶ・茨城しきゆたか(ハイブリッドとうごう)・長野コシヒカリの5品種で、それぞれご飯のお供に鮭または塩昆布を乗せた。
アンケートでは、日本米の購入場所や食味面での好みなどを聞き取り、回答者には試食した産地の精米やパックご飯をプレゼントした。また、歌舞伎絵を使用したグリーティングカードも配布。裏のQRコードを読み込むと産地情報や現地で購入できる場所などをまとめたWebサイトにアクセスできるようになっているものだ。
全米輸によると「本来、今年1月に実施を予定していたが、当時の国際線ターミナルの人流は1日1万人程度だったそうだ。現在は4万人弱まで回復しており、ちょうど良いタイミングだったのでは」とした。
ブースには東南アジアや欧米からの旅行客が立ち寄っていた。欧州から来た3人組に好みの銘柄を聞くと、満場一致で「福島天のつぶ」を選択。理由は「粘りがあって味もしっかりしている。ナッツのような香ばしい風味もする」とのことで、「自国の外食店で日本米を食べることはあるけれど、これだけ米に注目して食べたのは初めて!」と新鮮な様子を見せていた。
また5品種のうち、特に茨城しきゆたかは業務用として近年伸びている。茨城県によると、しきゆたかの輸出は(株)百笑市場を主体に取り組み、現地では「茨米(うばらまい)」と称して販売。輸出先国はアメリカ、香港・シンガポールなどの東南アジアを中心としているが、近年はヨーロッパからの引き合いもあるとのことだ。
一方、長野コシヒカリは日系小売店を中心に展開。県の課題としては「長野県産米のブランド化」を挙げた。「やはり現地では北海道や新潟などの知名度が高い。認知度向上に向け、シンガポールなど現地での試食イベントに取り組んでいる。まずは食べていただいくところから拡大に繋げていきたい」とした。
今後について全米輸は「昨年はアメリカ産と日本産米の価格の優位性について調査した。価格も重要ではあるが食味は個人によって異なるため、このように試食する場を設けてニーズを掘り下げていきたい」とする。
また、更なる輸出拡大に向け“ご飯のお供”との展開も視野に入れているとのことで、「農水省が昨年設立した『品目団体認定制度』や『輸出支援プラットフォーム』を活用し、横との連携を増やしていきたい。既にホタテの団体との取り組みの検討や、とある自治体からは『梅干しの輸出が伸びなくて困っている』などのお声がけをいただいている」とした。
〈米麦日報2023年3月22日付〉