神明が農産物のプラットフォームに参画、エア・ウォーター/ベジテック/デリカフーズHDと協業、7千億円規模の巨大プラットフォーム誕生
(株)神明ホールディングス(藤尾益雄社長)は3月28日、エア・ウォーター(株)(大阪市中央区、豊田喜久夫会長)らによる農産物のプラットフォームに参画すると発表した。
エア・ウォーターらは青果の流通・加工プラットフォームを構築しており、神明HDが青果市場のネットワークと米卸の機能をプラスする。参画後のプラットフォーム全体の売上高は7,000億円規模に達し、「国内最大規模の連合体」となる。また、エア・ウォーターが神明HDに4.7%出資するなど、協業間には資本業務提携もある。
3月28日には神明HD、エア・ウォーター、(株)ベジテック(遠矢康太郎社長)、デリカフーズホールディングス(株)(大﨑善保社長)が会見を開いた。
エア・ウォーターら3社は2023年2月に協業を開始。エア・ウォーターが北海道を中心とした青果の調達と消費地への物流ネットワークを提供し、ベジテック・デリカフーズHDが加工や川下への配送を担ってきた。そこに神明HDが加わることで、全国に物流拠点が30以上、青果貯蔵拠点が約10、青果市場5拠点というネットワークが形成される。4社計の取扱い農産物は約140万t(青果約90万t+米約50万t)。
なお規模感として、青果約90万tは国内青果出荷量の約7%を占めるほか、国内の青果卸マーケットは金額ベースで約3兆円とされる。
プラットフォームの運営は4社社長による運営委員会方式。委員長はベジテックの遠矢社長が務める。遠矢社長は「縁があって豊田会長と藤尾社長を引き合わせることになった。これから力を合わせていきたい。合計売上高は約7,000億円だが、集合体が大きくなっていけば1兆円を超えることもあるだろう。今後、参加したいという方が増えるよう努力していく」とした。また、「これまでは生産者と青果の取引をしてきたが、生産者は青果だけを作っているわけではない。米も取り扱うことができるのは大きな変化だ」ともしている。
藤尾社長は「私が感じている農業への問題点を、豊田会長も感じていた。このままでは米はあと10年で足りなくなり、食べる機会が減るだろう。そこから10年経つと今の和牛のような一部のお金持ちの食べ物になるかもしれない。そうはさせないために、力を合わせていきたい」などとした。
【エア・ウォーター(株)】
売上高1兆49億円(2023年3月期)。産業ガス事業、エネルギー、医療、農業・食品などの事業を展開。青果、ハム・デリカ、冷凍食品などを扱うアグリ&フーズ事業の売上高は1,528億円。2024年3月期は1,600億円を超える見込み。鮮度保持技術と物流ネットワークによる、青果流通加工プラットフォーム強化に取り組む。
【(株)ベジテック】
売上高640億円(2023年3月期)。青果の仲卸事業に加え、カットサラダやミールキットなどの加工製造事業を行う。「産地と食卓をつなぐ青果物の専門商社」。
【デリカフーズホールディングス(株)】
売上高479億円(2023年3月期)。事業会社のデリカフーズ(株)が業務用野菜の仕入販売やカット野菜・加工食品の製造販売を手掛ける。グループとして物流、研究開発、コンサルティング機能も有する。全国3万店舗へのチルド配送機能が強み。
〈米麦日報2024年3月29日付〉