バイエルら3社が「共創型バリューチェーン」公開、農薬最適化×簡便な営農記録×カーボンクレジット/バイエル クロップサイエンス
バイエル クロップサイエンス(株)(坂田耕平社長)はこのほど、報道関係者に、ウォーターセル(株)(渡辺拓也社長)・Green Carbon(株)(大北潤代表)との事業連携による、「共創型バリューチェーン」を公開した。
バイエルの農薬最適散布を実現するサービス「my防除」、2万組織以上が利用するウォーターセルの営農支援ツール「アグリノート」、中干し延長によるカーボンクレジット認証取得を支援するGreen Carbonの「Agreen」を組み合わせたもの。各社の得意分野を組み合わせることで、農業者のメリットを最大化する試みだ。
〈現状〉
まず、「共創型バリューチェーン」のプラットフォームに位置付けられるのがウォーターセルの「アグリノート」だ。スマホなどで日々の営農の情報を記録し、進捗管理もできる。GPSを利用した自動記録機能などがあり、「日々の記録付けの負担軽減」「いつでもスマホで記録を確認」といった機能を持つ。パソコンでも利用可能。
そして、バイエルの「my防除」は「水田雑草テーラーメイド防除」の処方提案が得られるアプリだ。従来、水田の雑草対策に使用される農薬は、一発処理剤など利便性を追求した複数の有効成分を含有する混合剤だった。
バイエルは
▽コスト競争力の向上・利益の最大化
▽農水省が2027年度に本格導入するクロスコンプライアンスへの対応
――のため、「水田雑草 テーラーメイド防除」の提案を進めている。
my防除に提案された農薬の処方はアグリノートに取り込み、使用履歴などを記録できる。中干し延長の記録もアグリノートで可能だ。GreenCarbonの「Agreen」でカーボンクレジット認証を申請するためのデータ出力もできる。
〈将来像〉
プラットフォームは「アグリノート」。「複数のアプリを使う必要がないサービスを目指したい」(ウォーターセル・渡辺社長)。具体的には「アグリノートに水田雑草 テーラーメイド防除の提案が届く」「中干しの営農記録を付けるだけでAgreenへのカーボンクレジット認証の申請ができる」などといったシステム連携を想定する。また、肥料メーカーやGHG(温室効果ガス排出量)算定サービス、金融、小売など、様々なプレイヤーが「共創型バリューチェーン」に参画することにより、農業の生産から消費までをつなげていく構想も示した。
〈米麦日報2024年4月9日付〉