アイリス鳥栖工場が稼働開始、30年の食品売上高は1千億円目標、パックご飯は2工場体制に、来年にも140万食生産へ
アイリスオーヤマ(株)(大山晃弘社長)は7月9日、佐賀の鳥栖工場でパックご飯と炭酸水の生産を開始した。
同日の会見で大山社長は、2030年の食品事業の売上高目標を1,000億円(パックご飯260億円)に設定し、うち輸出を100億円(パックご飯30億円規模)とする計画を示した。この目標達成に向けて、国内7食品工場の生産体制を増強する方針だ。大山社長は食品事業への積極投資の意欲を見せ、「売上高は年々増加しており、24年度は売上高430億円計画のうち、パックご飯が125億円を占める。鳥栖工場の生産開始を機に、西日本での販売を強化していきたい」などと意気込んだ。
同社の食品製造拠点は東日本に集中しているなか、鳥栖工場は「西日本初の食品製造拠点」であり、西日本の食品製造・物流拠点、ASEAN を含むアジア圏への輸出拠点という位置づけにもある。もともと鳥栖工場はプラスチック製品やLED 照明などを製造してきたが、今回は精米・パックご飯設備に約50億円、飲料水に約70億円――の総額約120億円を投じ、工場の一部を食品製造拠点として改修。パックご飯の製造能力は日産20万食(1ライン)で、角田工場(宮城)の100万食(5ライン)と合わせると120万食となる。さらに鳥栖工場で来年稼働させる追加ラインも併せると140万食となる見込みだ。
製造は主に「低温製法米のおいしいごはん 国産米100%」で、ブレンド原料米の調達は佐賀や香川などの生産者・単協のほか、関連会社の(株)舞台ファーム(宮城)などとも連携する。また、今後はヒノヒカリなど地元ブランド米を使用した単一銘柄のパックご飯も製造する意向だ。なお、今回の設備導入には農林水産省の産地パワーアップ事業を活用している。事業拡大に伴う新規雇用者数は精米・パックご飯で130人、飲料水で80人の見込みだ。
パックご飯について大山社長は、「国内の米消費が減少するなかで、パックご飯市場は毎年5%伸長している。これまでは保存性に優れることから、買い置き商品としての需要が主だったが、簡便性・美味しさが認知され、共働き世帯や個食化が進む現代の需要にマッチして伸びているのだろう」「輸出も拡大しており、日本のパックご飯文化を世界に広めたい」などと語った。発表会には多数の来賓が出席し、佐賀県の山口祥義知事、九州農政局の北林英一郎局長、鳥栖市の向門慶人市長が挨拶の中でエールを送った。なお、鳥栖市のふるさと納税返礼品に、同工場のパックご飯が採用される予定だ。
〈米麦日報2024年7月11日付〉