【需給俯瞰】主食用米の5/6年需要実績は10年ぶり反転「702万t」、フルイ下不足に対し備蓄米販売決定、8月に2年産1万t入札へ/7月指針
農林水産省は7月30日、食料・農業・農村政策審議会の食糧部会を開き、「7月指針」(基本指針=米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針=の策定)を審議、諮問案通り答申した。
【5/6年実績】
まず今年6月末在庫は、速報値ベースながら「156万t」と仮置いた。3月指針までの想定(177万t)を大きく下振れする数字で、前年(197万t)からは実に41万tの圧縮だ。実数で見ると統計開始以来過去最低の民間在庫だが、需要と比べた在庫率で見れば「22.2%」。この点、農水省は前日の記者会見で「過去にもこうした水準だったことはあり、それほど特異ではない」(武田裕紀企画課長)という認識を示している。
この結果、昨年7月~今年6月の需要実績を+11万tの「702万t」と弾き出した。要因は〈1〉高温・渇水に伴う等級・精米歩留まり減(6万t程度)、〈2〉インバウンド消費(3万t程度)、〈3〉食品値上げ局面での相対的な値ごろ感(2万t程度)――と推測しており、需要量が増加に転じるのは25/26年以来10年ぶりのことだ。
【6/7年見通し】
そして例年通り、1人当たり消費量(推計)に人口推計を乗じる算出方法によって、今年7月~来年6月の需要見通しを▲29万t程度の「673万t」(673.4万t)と置いた。また、6年産の生産量は前年並み面積+平年並みの作柄と仮定すれば「669万t」から変更なし。これらを当てはめた結果、来年6月末在庫は「152万t」となる。
【加工用に備蓄米販売へ】
この日の食糧部会では加工原材料用途への備蓄米販売も諮り、了承を得た。対象は4年古米にあたる2年産(1~2等米)1万tで、入札は8月に数回を予定。5年古米の元年産はエサ向け販売の段取りが付いているため、4年古米が対象となった。
参加資格者は「加工原材料用の買受資格を有する者」に加え、「今回の政府備蓄米購入契約数量以上に7年産の加工用米の購入を希望する者」が基本条件。「現在の価値(市場価格など)により最低販売価格を設定する」とも。
また、来年度以降も「前年産の加工原材料用の国内産米の供給量が大きく減少し、米加工品製造業者による当年産への切替えの前倒し及びMA米への代替が行われてもなお端境期の供給が不足すると認められる場合には、当年8月以降に政府備蓄米の入札による販売を実施する」という指針が示された。
〈米麦日報2024年7月31日付〉