キッコーマン食品がテイクアウト支援に注力、新型コロナ対策で要望急増
〈業務用調味料の活用で本格的な味わい、アレンジの幅を広げる〉
同社では2月辺りから、外食業者や居酒屋業者といった顧客から、「テイクアウトを始めたい」という要望が非常に増えてきたと振り返る。「2月に新発売した業務用調味料“わが家は焼肉屋さんプロ(濃厚しょうゆだれ、熟成もろみだれ、ねぎ塩だれの3種)”の提案を行う中で、テイクアウト支援に取り組んできたが、その中で様々な課題が見えてきた。例えば提供から時間が経つと見映えが悪くなる、普段使っている食材を活用したいといったことや、調理人が少なくても混雑時に商品を提供できるオペレーションの工夫といったポイントに対して、お役立ち提案を行ってきた。一方で健康的な食事を摂りたいというニーズも多く、魚メニューや野菜を多用したメニューなど、ヘルシー訴求にも注意しながら提案させていただいている」と述べ、これまで以上にテイクアウト支援の重要性は高まっていると強調する。
具体的な事例としては家庭で揚げ物調理が減少していることの裏返しとして、人気化している天丼メニューでは、本格的な味わいとなるだけではなく、適度なのり具合で液だれ防止にも寄与する天丼たれを同社では開発しており、こうした提案を第一段階に位置付けている。
また、新しい食材はロスにつながりやすいことから、事業者が普段使っている食材の活用もポイントだが、鶏肉の場合だと照り焼き、チキン南蛮といったメニューだけでは飽きられてしまうので、短時間かつ少ない工程で調理でき、外食ならではの味わいを提供することが必要だと指摘する。
それを踏まえて同社では、短時間で燻製仕立てのチキンソテーの提供などを可能にする「ステーキしょうゆ 贅沢香る燻製仕立て」や、「わが家は焼肉屋さんプロ 熟成もろみだれ」を使うことで「もろみ焼き」などの発酵メニューの対応も可能となるなど、液体だれ・ソースを替えることで、アレンジの幅を広げる提案に注力している。
同社では「外食は調理したらすぐ食べることが前提だが、テイクアウトは30分、1時間後に食べることも想定しなければならず、さらに具材にきちんと味がからんでいる、液だれをしない、といったこともポイントになる。これはリピーターを確保するためにも重要だと思っている」との見方を示す。
〈事業継続指針で小袋調味料、密封ボトルへの切り替えを提案〉
さらに同社では、新型コロナ対策としての外食業者の事業継続指針(日本フードサービス協会)で、「卓上には原則として(しょうゆなどの)調味料を置かないようにする」との規定を重視している。
「当社としても外食店に早くお客様が戻ってきてほしいと考えており、卓上調味料についてもお客様が利用しやすい環境を作っていきたい」とした上で、しょうゆ瓶を撤去した場合は、小袋調味料か密封ボトルへの移行が主な動きになると想定し、情報発信に努めるとしている。
「小袋入りしょうゆではスタンダードの“しぼりたて生しょうゆ”に加え、健康志向の高まりに対応した“減塩しょうゆ”を提案、密封ボトルでは、オペレーションの簡素化と合わせて切り替えを提案していきたい」としている。