メニュー用調味料 市場は800億円で足踏み
◎中長期的には有望分野
メニュー用調味料(合わせ調味料)市場はこれまで主力だった中華用に加え、醤油ベースの和風用やトマト等をベースにした洋風用、さらには電子レンジ調理用、肉関連メニュー専用品などの提案が活発化している。しかし、袋物惣菜や中食惣菜などへの移行や野菜高などの影響からか市場規模は800億円前後と踊り場状況にある。それでも女性の社会進出、高齢化などにより、新規ユーザーの獲得が可能であり、中長期的には成長が見込まれる分野だ。
メニュー用調味料は、麻婆豆腐など中華料理用が先鞭をつけ、その後、韓国風、さらに現在では和風、洋風をラインアップ、調理方法も炒め、煮込みという主流以外に、ごはん用、レンジ専用、さらに食パンのフレンチトーストやパスタメニューなど洋風にも広がっている。主素材(肉、魚介類、豆腐、野菜など)を加えてフライパン等で簡単に目的の惣菜を調理するソース系のパウチタイプ(副素材入りや専用調味粉入りもある)をメニュー用調味料とすれば、その市場規模は約800億円と言われる。
この分野のはっきりした統計はないが、メーカー筋の話を総合すると、市場規模は12~13年度に和風が大きく伸び700億円を突破、その後も各社から有力商品が発売され、簡便調理需要に乗って14年度には780億円程度となった。15年度も横ばいから微増、16年度も食酢系や鶏肉などトレンドに合わせた新製品が発売されたことから若干の増加が見込まれ約800億円前後に達するとみられる。
またハム・ソーセージの有力メーカーは畜肉入りのチルドのメニュー用を発売しており、前述の市場とは別に140億円規模の市場を有している。
こうしたメニュー用調味料の成長には、時代の要請にこたえた商品群であることが最大の要因だ。
もともと有職主婦層の簡便調理というニーズをつかんだこと、対象メニューに特化した醤やスパイスを配合しおいしく失敗なくできること、さらに野菜摂取意向を満たすメニューが多いことなどから、急激に成長した。高齢化社会の進行も簡便調理が可能なメニュー用調味料の需要拡大を後押しした。
また、これまで生鮮連動販売は流通業者の部門の壁に阻まれ、積極的な展開は難しいとされていたが、実際に精肉や青果売り場でメニュー用調味料や鍋つゆを販売すると、生鮮品の販売も増加するなど効果的なことがわかってきた。そのため、現在では精肉、青果に加え、鮮魚、お米売り場でも積極的な連動販売が見られる。
ただここ1~2年、市場規模は踊り場状況にある。野菜高になるとキャベツや白菜などをメインにする商品が落ち込み、代わりに豆腐やもやし、鶏肉、豚肉などにシフトするがカバーまではいかない。野菜高の期間が多くなったのはマイナスだ。
また中華・洋風は家庭では用意しない醤やハーブ類などを使用するが、和風は家庭にある基礎調味料で代替可能。節約志向からかメニューサイトを研究して基礎調味料を使って調理する主婦が増えているという。中華・洋風が善戦する中、和風がやや苦戦している要因となる。
また、大手CVsではPBの袋物惣菜(冷凍含む)が急成長、量販店でも惣菜に力を入れるケースが目立つことから、より簡単な中食へのシフトが進んだのも伸び悩みの要因だ。
しかし、800億円市場といっても世帯当たりの年間購入数は10個程度。未購入層や年間1~2個のライトユーザーが多いとみられる。そのため、メニュー用調味料の長所であるの簡便さ、おいしく失敗なくできること、中食にはない手作り感があること、旬の素材を活用できることなどをアピールすることで、新たな需要を掘り起こすことが可能だ。