ハウスギャバン誕生 生駒晴司社長インタビュー
ハウス食品グループにおいて、主に業務用スパイス事業を担ってきたギャバン。2023年4月1日、ハウス食品の業務用事業を統合し、スパイスからカレーなどのメニュー製品まで、味と香りを追究する業務用食品メーカー「ハウスギャバン」として新たなスタートを切った。新社の社長には、ギャバンで社長を務めた生駒晴司氏が就任した。
〈“汎用性調味料・原料”に挑む ソリューションカンパニーへ新たな一歩踏み出す〉
ハウスギャバンでは、グループ内のみならず、食のプロフェッショナルをはじめ食に携わるすべての人との共創により、食を通じた感動の提供を企業理念に掲げる。「ギャバンの素材ビジネスとハウス食品の加工技術を生かして、差別性の高い“汎用性調味料・原料”の製品領域にチャレンジしていく。具体的には、スパイス製品から見ると調理過程・製造工程の効率化や香り・辛味をさらに向上し付加価値をより高めた製品であり、メニュー製品から見るとあえて完成度を抑えることで、使われるお客様が少し手を加えれば差別化できるベース調味料製品に取り組む」と生駒氏。「現在のブランドの考え方は、ハウス食品とギャバンはどちらも多くのお客様に支持されてきたコーポレートブランドなので、提供価値によってそれぞれを活用していく」とする。
中・高・大と一貫して同志社(中・高:同志社香里)に学び、高校ではハンドボール部に所属した。「自由な校風のもと、監督やコーチがいない部活動だった。キャプテンとして厳しくやりすぎてしまい、部員たちに練習を敬遠されてしまったこともあった」と若き日を振り返る。
この苦い経験が、今に生かされている。新社の企業理念はハウス食品とギャバンから次代を担う世代の社員6人ずつを選出し、計12人の検討プロジェクトチームにより、半年をかけて策定した。
社員自らが理念策定に関わることで自分事として受け止めることができ、体内化につながると考えたからだ。プロジェクトチーム発足時には、「『会社の存在意義を示すもの、社員や経営層が判断に迷った時に支柱となるもの、固定概念を払拭し融通無碍(むげ)に新たなビジネスモデルを追求できるもの』を考えてほしい」とだけ伝えた。その結果、出てきたものは非常に完成度が高かったという。企業理念は、未来を視野にスパイスにとどまらず、すべてを包含する“食”に思いを込め、「ともに創る、心に響く食」とした。
今後について生駒氏は、「ハウス食品のルウ・フレーク・レトルトにおける製法・製造技術とギャバンのスパイスにおける原料ソリューションを組み合わせた『新スクラム型+多品種変量生産』により、業務用事業に合った新たなビジネスモデルを創り上げる。他社が手を出さない非効率なことをDXの推進などで効率化し、取引先からハウスギャバンに頼めば解決策を示してもらえると思っていただきたい」と語る。
「情と義理を欠くな」、亡父の教えを胸に業務用食品メーカーとして、ソリューションカンパニーへの新たな一歩を踏み出した。
〈プロフィール〉
生駒晴司(いこま・せいじ)1965年7月17日奈良県生まれ、57歳。1988年3月同志社大商卒。同年4月ハウス食品入社。2012年4月ハウス食品広域営業部長、2013年10月同社事業戦略本部食品事業三部長、2014年6月ギャバン社外取締役、2016年4月ハウス食品グループ本社経営企画部長を経て同年6月ギャバン社長、2023年4月1日、新たに誕生したハウスギャバン初代社長に就任した。