味の素新社長に中村茂雄常務が昇任、初の技術分野出身社長が誕生、藤江社長は会長に就任
味の素は2月3日、中村茂雄氏(執行役常務、ラテンアメリカ本部長)が同日付で代表執行役社長に昇任したと発表した。同日開催の取締役会で、社外取締役で構成された指名委員会による選定にもとづいて代表執行役社長を決定したもの。藤江太郎代表執行役社長は執行役会長に就任した。
〈2月3日付で社長交代する理由について〉
期中に社長交代する理由について、同社は次のように説明する。藤江太郎前社長は、2024年12月下旬に体調を崩し、現状順調に回復しているものの完全回復には一定期間要する見通しであることから、経営の空白が生じるリスクを最小化するため、代表執行役社長の辞任の申し出が本人からあった。
それを受け指名委員会にて、非常時のCEOサクセッションプランに従い協議した結果、2025年2月3日付での中村茂雄氏の代表執行役社長就任を決定したという。
〈「ASV経営」のさらなる加速と持続的な企業価値の向上を目指す〉
味の素グループは「中期ASV※経営」を推進し、「志」である「アミノサイエンス(アミノ酸のはたらきに徹底的にこだわった研究プロセスや実装化プロセスから得られる多様な素材・機能・サービスの総称)で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」ことにより、企業価値を持続的に高めていくことが重要と考えているとする。
※ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)は、事業を通じて社会価値と経済価値の共創に取り組むこと。
新社長となる中村氏は、味の素入社以来、味の素ビルドアップフィルム(ABF)を軸とする電子材料事業の立ち上げ、およびその成長をけん引し、ラテンアメリカ本部長兼ブラジル味の素社社長として、食品事業およびバイオ&ファインケミカル事業の事業基盤強化と成長の実現に実績を残してきたという。
また、味の素では初の技術分野出身の社長であり、50代の若さとスピード感、そして変革の推進力により、さらなる「中期ASV経営」と「企業文化変革」の加速およびそれらに伴う企業価値の向上が実現できると判断したとする。
速やかに新体制に移行し新社長が十二分にその役割を発揮できるよう、藤江氏は執行役会長としてサポートするとしている。
〈中村茂雄新代表執行役社長 最高経営責任者メッセージ〉
中村茂雄新社長の就任にあたってのコメントは以下の通り。
「ASV経営」と「志」を引継ぎ、自身の経験と強みである顧客・市場ニーズを先読みした「高速開発システム」を型化して展開することで、「2030年のありたい姿」を前倒しで実現することに全身全霊で取り組む所存です。
また、当社グループが有する「アミノサイエンス」のユニークネスと「人財」「技術」「顧客」「組織」の無形資産を、より多様性と創造性の高い人財を育成することで磨き込み、より多くの人、社会、地球の Well-beingに貢献する企業として持続的に企業価値を高めていきたいと思います。さらに、失敗を恐れず挑戦を促すと共にその挑戦の質を高めていくことで、「従業員・組織が本来持つ能力を十分に発揮できる、主体的に挑戦・成長できる文化」へと進化させ、「働きがいNo.1の企業グループ」実現に向けて取り組みます。
〈他の執行役の異動〉
また、同社は新たな代表執行役社長による選定に基づき、2025年4月1日付の他の執行役の異動を決定したことも発表した。新任と退任の執行役は以下の通り(敬称略)。
▽執行役ラテンアメリカ本部長(味の素AGF副社長)山本直子▽執行役食品事業本部副事業本部長食品研究所長(食品研究所コンシューマーフーズ開発センター長)川瀬博士▽執行役サステナビリティ担当(執行理事サステナビリティ推進部長)小野郁。
▽退任(執行役常務食品事業本部副事業本部長食品研究所長)小島淳一郎▽退任(執行役常務サステナビリティ・コミュニケーション担当)森島千佳。
〈味の素 中村茂雄(なかむらしげお)新社長の略歴〉
生年月日 1967年10月13日
東京工業大学総合理工学研究科化学環境工学専攻(修士)卒業
1992年4月 味の素入社
2009年10月 アミノサイエンス研究所機能製品研究部機能材料研究室長
2010年10月 バイオ・ファイン研究所素材・用途開発研究所素材開発研究室機能材料グループ長
2016年7月 バイオ・ファイン研究所素材・用途開発研究所素材開発研究室長
2018年4月 バイオ・ファイン研究所マテリアル&テクノロジーソリューション研究所素材開発研究室長
2019年6月 執行役員 味の素ファインテクノ社社長
2021年6月 執行理事 化成品部長
2022年4月 執行役常務 ブラジル味の素社社長(現任) ※2025年4月1日付で退任予定
2025年2月 代表執行役社長(現任) 最高経営責任者(現任)