〈シグナル〉セールのない安心感

「鎌倉シャツ」を愛用して1年になる。店先で、理想的なデニムシャツを見かけたのがきっかけだった。有名セレクトショップで試着してみたイタリア製デニムシャツと質感が似ていた。価格はその約3分の1の6372円。買いだった。シャツ、ブラウス、アウターへと手を広げ、気づけばファンになっていた。いつも価格の倍以上の満足感を味わっている。

鎌倉シャツで親しまれるメーカーズシャツ鎌倉は、「シャツをもって日本人をお洒落にしたい」と、1993年に貞末良雄・民子夫妻が鎌倉の地に創業した、SPA(製造小売業)だ。専門店を関東中心に国内26店、ニューヨーク2店、オンラインショップを展開している。

「最高のクオリティのシャツを適正な価格でお届けすることが使命」とホームページにある。『鎌倉シャツ魂のものづくり』(丸木伊参著)によると、原価率は59%と驚異の高さ(一般的なアパレルは20~30%)を、商品回転率と消化率(99%!)の高さがカバー。生地、国内縫製(一流の協力工場)、副資材にこだわった上質なシャツなどを、手頃な価格で提供することを可能にしているという。

「セールは昨日までのお客さまを裏切ることになる」とし、最初から良心的な価格に設定。いつでも同じ価格で買える安心感がある。セールもポイントも利用するが、囲い込みの側面が強く、「本当にお客のことを考えているのか」疑問をもっていた昨今。エブリデイ適正プライスが清々しい。

〈食品産業新聞 2017年10月30日付より〉