〈シグナル〉鍋率低下で家庭の食卓は

首都圏で4年ぶりの大雪になるなど例年より寒い冬。毎日でも鍋物を食べたいが、白菜の高騰で我が家での鍋の出現率が例年よりもあきらかに低い。需要があるのに供給が追いつかないミスマッチ。モノがない青果業者もつらいが、精肉や豆腐、きのこ、鍋つゆなど、モノがあって絶好の気候なのに、売り込み切れない関連業者の方がもっとつらい。スーパーの店頭でも、野菜が少なくて高騰しているとメニュー提案や特売も組みにくく、売場づくりに苦心している様子がうかがえる。

この冬、家庭の夕食にはいったい何が並んでいるのか。大根も高騰し、おでんも作りにくい。ジャガイモ、タマネギは安定しているのでカレー、シチューなど煮込み系かと思いを巡らす。

先日あるスーパーの惣菜担当者が「11月頃から寿司が急に売れるようになってきた。原因はわからない」と話していた。株価は上がるが庶民の景況感はよくない。底辺での節約志向は続くが、ハレの日出費の頻度が上がっている感じはある。ハロウィンと言って盛り上がり、ブラックフライデーと言って盛り上がる。毎月何かにこじつけて、ささやなか宴会が開催される。

寿司はハレの日のご馳走の代表。日本人が大好きな生魚は昨年春のアニサキスの報道以降、なんとなく自粛ムードだったが秋以降に戻ってきた。この冬の家庭の食卓は何かという疑問の一つの仮説として、パーティーメニューが浮かんだ。ローストビーフも並んでいそうだ。

〈食品産業新聞 2018年2月5日付より〉