〈シグナル〉売場を席巻する缶チューハイ

酒類業界が缶チューハイや缶ハイボールをRTD(Ready To Drink=ひと手間かけずにそのまま飲める。もともとは海外の言葉)と総称して久しいが、このRTDが1割強の伸びで推移している。これまで主にビール類、甲類焼酎の消費を浸食しているとされてきたが、ここにきて清酒、ワインなど全ての品目への影響が指摘されている。1~6月で前年比プラスになった品目はRTDとウイスキー(その飲用形態はハイボール)のみだ。

ビール類+RTDのうちRTDの占める構成比は19.6%にまで跳ね上がった。つまり、発泡性酒類という意味では5本に1本がRTDになった。量販店の店頭を見てもそれは明らかで、大きなフェースを缶チューハイが占めている。

店頭では350ml缶が1缶108円(税抜)だ。特売商品では100円を切ることはざらにあり、流通PB(プライベートブランド=流通業者によるブランド)は毎日、その価格だ。昨年の酒税法改正でビール類の店頭価格が上昇し、この春には業務用のビールも値上がりした。108円が6本でも648円。新ジャンルと同等か、あるいは安い場合もある。つまりRTDの価格優位性が、相対的に際立っている。

伸びているカテゴリーとあって、流通PBは、中小メーカーを巻き込んで増え続けている。コンビニではアルコール度数12%で1缶130円(税込)という驚愕すべきPBもある。価格を含め、これ以上の加熱は問題点が多いのではないか。

〈食品産業新聞 2018年8月27日付より〉