〈シグナル〉冷凍野菜 加熱後・無加熱摂取の混在
人手不足が深刻さを増す折、外食や給食施設、量販店のバックヤードでは、自然解凍で利用できる冷凍野菜が普及している。食品の規格基準としては「無加熱摂取冷凍食品」に分類されるものだが、メーカー各社もユーザーのニーズに応えるように、自然解凍品の品種を拡大してきた。
これまで加熱後摂取が当たり前だった食材が、加熱しないで利用できるというのは便利であることは間違いない。しかし一見同じ食材に見えて、実は加熱が必要だったり、不要だったりする状況が生まれることに、利用者側はもちろん、製造者側も配慮する必要がある。
食品安全委員会は今年3月と7月に、欧州食品安全機関(EFSA)などによる、冷凍トウモロコシに関連すると見られる、リステリア・モノサイトゲネスに起因する集団感染症に関するリスク評価書の内容を公表した。同7月には英国公衆衛生庁のレポートも公表している。
それによれば15年以降18年6月までに、EU加盟国5カ国で冷凍トウモロコシが汚染源と見られる集団感染症が47症例報告されている。複数の消費者が無加熱摂取製品ではないのに、未加熱や不十分な加熱で摂取しており、仕出し業者がサラダやサンドイッチに未加熱のまま使用していたと見られるという。 調理はパッケージ記載どおりに行う、というのは加工食品の基本だが、消費者が予想もしない使い方をするというのもまた事実だ。
〈食品産業新聞 2018年10月8日付より〉