〈シグナル〉「心理的安全性」でモチべ向上
人手不足は全産業で共通の課題だが、食品製造業の生産現場では特に労働力不足が深刻化している。常用労働者に対する未充足求人の割合「欠員率」は全産業平均の2倍近くに上るという。
では、どうすれば課題を解決できるか。先日聞いた講演で、農水省食料産業局食品製造課の東野昭浩課長は、既存の従業員のモチベーションを高める、機械化による効率化、多様な人材採用の3つの方向性を提案した。興味深かったのは、従業員のモチベーションを高める方法についてだ。
世代が異なれば、「今時の若いもんは」と、ぼやきたくなるのも必然だろう。最近では、叱り方ひとつとってもパワハラ問題に発展しかねず、気を遣うシーンも多そうだ。
東野課長は、次世代の従業員をどのように巻き込んでいくかがカギで、「心理的安全性の確保」が重要と説き、グーグルの「プロジェクトアリストテレス」を引き合いに出して説明した。
世界中から優秀な人材が集まる同社だが、個々人の能力が高くてもチームになったとたんにチーム間で生産性に差が出ていた。検証すると、要因は心理的安全性にあったという。
質問やアイデアを披露した場合でも、このチームならば、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられることが、高い成果を生み出す土壌になるという。
ぜひ、管理職にはそういった雰囲気をつくれているか振り返ってもらい、若手社員には萎縮せずに自己主張してもらいたい。
〈食品産業新聞 2019年11月4日付より〉