〈シグナル〉バスケ漫画で感じた時代性
子どもがバスケットボール部に入った。ただ、親子とも詳しくなかったので、より魅力を知るためバスケ漫画の中で人気の高い3作品「スラムダンク」「DEAR BOYS」「黒子のバスケ」を購入し、立て続けに全巻読み終えた。
どの作品も非凡な才能を持った主人公の加入をきっかけに、チームの一人ひとりが自分の役割に目覚め、信頼関係を築き上げながら大会を勝ち抜くストーリーとなっており、非常に面白い。
もうひとつ共通していると思ったのは、主人公が朝から夜遅くまで学校で自主練習していたことだ。誰よりも練習するからこそ才能が開花するというメッセージだろう。
だが、現在の中学校は練習を毎日しないそうだ。2018年にスポーツ庁が示した運動部活動のガイドラインは、週あたり2日以上の休養日を設け、活動時間も平日は約2時間とした。
うちの子どもの部活も平日は週3日で朝練や居残りは禁止。そこで部員達はスマートフォンでBリーグやNBAの動画を見てイメージトレーニングし、週末は社会人リーグ経験者から指導を仰ぐなど工夫している。
大人も働き方が変わり、遅くまで残業することが美徳でなくなり、出社しないという選択肢も出てきた。業務では量より質を高めることが求められている。
目標達成には、最新のテクノロジーの活用とともに、一人ひとりが情熱を持って工夫をし続けることが重要になる。その点はいつの時代も変わらないようだ。
〈食品産業新聞 2020年10月26日付より〉