〈シグナル〉充実感より達成感ある仕事を
最近「AI分析で分かったトップ5%社員の習慣」という本を読んだ。ビジネスパーソン1万8000人を定点カメラ・ICレコーダー・GPSで調査、AI分析した働き方の結論という、何やら壮大な表紙の文言に興味を持ったためだが、働き方について考えさせられることも多かった。
仕事で結果を出し続けるトップ5%の社員は何が違うのか。最も印象に残ったのが、5%社員は目標を設定し、それをクリアして得た成果に対し達成感を感じる一方、その他社員は仕事を終わらせること、作業が完了することによって充実感を感じるという指摘だ。5%社員がとことん目的志向であるのに対し、その他社員の多くは手段が目的化しているともいえるだろう。
わかりやすい例が、資料作成の時間の比較だ。5%社員は必要最小限の内容に留め、そこまで時間をかけないのに対し、その他社員は完璧な資料を作ろうとして膨大な時間をかける傾向にある。だが、実際の会議やプレゼンでは、苦労して作った資料に全く目が通されないというケースもままあり、そうなると資料作成に費やした時間は無駄になる。5%社員は、どうすれば相手に伝わるかを考えることに時間を費やし、資料はその補助に過ぎないと捉えている。
自分自身、作業に追われると、それらを処理すること自体に満足し、仕事した感を出してはいなかっただろうかと自問することで、働き方を見直す良いきっかけとなった。
〈食品産業新聞 2021年1月28日付より〉