〈シグナル〉ネット動画の発信力
コロナ下でYouTubeを日常的に視聴するようになった。2020年春、動画配信サービスの視聴と、在宅勤務時のオンライン取材・会議の環境を改善しようと、古いwi-fiルーターを更新した。テレビの大きな液晶画面でネット動画を視聴するのは快適で、習慣となった。
動画をきっかけに試したことは多々あり、また購入したアイテムもある。その一つが、英国のグレンロイヤルのバッグだ。たまに行く商業施設に取扱店があったが、動線から外れていたこともあり、存在を知らなかった。店を訪れ、店員とのやり取りを通じて、ブランドや商品のストーリー、魅力をあますことなく発信する動画をきっかけに興味をもった。実際に店舗で商品をみて、長く愛用できそうだと購入に至った。
食関連では、レシピ動画が人気だ。たまたま夏に視聴して、ケタ違いの再生回数の多さに驚いたのが、田舎そば川原(香川県)の「そうめん茹でるな」という動画だ。そうめんを沸騰させた湯に入れて、余熱で5分調理するコツを伝授するもの。アップから4カ月後の10月現在、再生回数は脅威の426万回となっている。そば店を営む川原恵美子さん(75歳)が料理の知恵やレシピを紹介する人気チャンネルで、料理レシピを若い人に残したいという思いから始まったという。1月には初の書籍も発売される。
伝えたい中身があってこそだが、発信の手段として動画は無視できない。
〈食品産業新聞 2021年11月1日付より〉