〈シグナル〉ノンアルとビールの中間
厚生労働省は2024年2月に「飲酒に関するガイドライン」を発表した。1日あたり純アルコール量の摂取量が男性40g、女性20g以上で、生活習慣病のリスクを高めるとした。40gは、アルコール5%のビール500ml缶の2本分。同7%の缶チューハイは350ml缶で2本分となる。これが多いか少ないかは人によるだろうが、左党は「へいへい、そうですか…」といった感じだろうか。
8月29~31日の3日間、アサヒビール・サッポロビール・ヤッホーブルーイングなど5社が共同して渋谷で「微アルコール」(アルコール度数1%未満)に特化したビアガーデンを開催した。あいにく、台風10号に祟られたが、その意義は大きい。ビール大手4社のうち2社が共同開催というのもほぼ前例がない。
アサヒによると、日本の20代~70代の人口約9000万人のうち、お酒を飲まない人(飲めるけど飲まない+飲めない)が、約5000万人を占める。「これまで当社は飲める人4000万人ばかりを対象にビジネスをしてきた」(同社)。しかし、調査の結果、飲まない方から「お酒は強くないけど、飲みの場は好き」「ソフトドリンクではお酒を飲む人との温度差を感じる」などの声が少なくないことが分かったという。
アルコール0.0%のノンアルはあまりに味気ない、との声もある。多様性の時代に、微アルコールは受け入れられる素地がある。