のど飴市場拡大、“本格志向品”の増加で「イソジン」「養命酒」も参入
一般に、日本国内で販売されているのど飴には、「食品」「医薬品」「医薬部外品」の3区分があり、ここでは「食品」について取り上げる。
近年グミキャンデーや錠菓に押され、ハードキャンデーの中でも特にのど飴は減少傾向にあったが、2017年11月から2018年10月の1年間で、のど飴の売り上げは約400億円(インテージSRIデータ)となり、飴市場のおよそ半分を占める規模へと拡大。風邪の流行シーズンを迎え、さらに需要は伸びそうだ。
国内初の食品のど飴は、カンロが1981年に発売した「健康のど飴」だ。「飴の目的買いを促し、のど飴という新たなカテゴリーを創ってきた」(同社)。
グミや錠菓など、多様化が進む携帯菓子カテゴリーの中でも「口内で時間をかけて舐め、溶かす」「のどを潤す」ことができるのは飴特有の価値と言える。その中でも特に、のどの不調を改善したいというニーズは、世代や性別を超えて幅広い層に共通している。より高い機能価値を求める消費者と、飴の強みを生かしたいというメーカーの考えが相まって、本格志向品が増えている。2017年9月に大正製薬「ヴィックスのど飴 シトラスミックス」が食品のど飴市場へ参入して以降、この傾向はさらに強まった。
こうした状況下、昨秋カンロは「健康のど飴ドクタープラス」を発売した。鶴見大との共同開発品で、国内外から123種のハーブエキスを集め、のど飴に最適な「ホップエキス」を選んで配合した。「成分ありきで作ったが、ホップエキスの苦味に、グレープフルーツを合わせてなめやすい味に仕上げている」(同社)。連食を想定し、ノンシュガーとした。
また、榮太樓總本鋪は、早稲田大ナノ・ライフ創新研究機構と共同開発した「紅茶博士のテアフラビンのど飴」を発売。抗菌作用が報告されている紅茶ポリフェノールを配合し、「紅茶の中でもテアフラビン含有量が比較的多く、価格や味のバランスが良いディンブラ種を採用した」(高見澤菜穂子次席研究員)という。
2018年は新規参入品も増えた。養命酒製造では、国産ハーブ、クロモジのエキスを配合した「養命酒製造のど飴」を発売。長年にわたる研究を踏まえ、クロモジエキス事業第一弾として上市した。19年は90万袋の販売を計画している。
さらにムンディファーマでは、世界的な感染対策ブランド「イソジン」初ののど飴「イソジンのど飴」(フレッシュレモン、はちみつ金柑味、ペパーミント味)を発売した。
〈食品産業新聞 2019年1月31日号〉