「第5回 アレルギー対応スイーツコンテスト2023」プロ部門優勝は「五感で味わう幸せのクローバー」、地産地消や親子のコミュニケーション創造にも寄与

最終審査会で披露された12作品
最終審査会で披露された12作品

「第5回 アレルギー対応スイーツコンテスト2023」最終審査会がこのほど、都内の製菓学校で開かれた。同コンテストは、「食物アレルギーがあってもなくても、みんなが笑顔になれるスイーツ」の啓発を目的としたもの。

〈前回大会の様子〉「第4回 アレルギー対応スイーツコンテスト2022」プロ部門1位は「小悪魔ムースショコラ」、地産地消に取り組んだ作品も

応募レシピの条件は、「卵・乳・小麦を使用しない」「レシピ・原材料を明らかにする」こと。味、外観、再現性、創意工夫、技術・効率性、コンセプトの6項目各5点、30点満点で藤生義春審査委員長(パティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ)、益田一亜輝副審査委員長(東京製菓学校)をはじめとした15人の審査委員により審査した。

5回目の開催となった今回は、プロ20作品、学生21作品、一般16作品、キッズ34作品、計91作品の応募があり、実技審査を行う最終審査会には12人が進み、それぞれ創意工夫を施し、味・食感・見た目に優れたアレルギー対応スイーツを披露し、作品のコンセプトについて説明した。コロナ禍を機に製菓需要が高まり、親子のコミュニケーション創造の観点からも手作りスイーツに注目が集まるなか、今回も親子で一緒に作ることができるスイーツをコンセプトとした作品が多く見られた。

厳正な審査の結果、プロ部門の優勝は「五感で味わう幸せのクローバー」(瀬川徹さん)、準優勝は「りんごの思い出」(田中詩乃さん)、一般部門は優勝「同じ生地でご褒美プリンセスタルトケーキとバナナチョコキャラメルタルト」(緑川めぐみさん)、準優勝「シャイニーグリーン レアチーズケーキ」(野村貴子さん)、学生部門は優勝「タルト・カラメル・エ・オランジュ」(高田李穂奈さん、東京製菓学校)、準優勝「くりま」(金惠珍さん、日本菓子専門学校)に決定した。

昨年から引き続き2度目の優勝となったプロ部門の瀬川さん。その作品コンセプトは岩手県の食材を生かした“地産地笑”だ。「生産者の生の声を聞き、共に作り、付加価値をつけて製品化している」という。

藤生義春審査委員長とプロ部門優勝の瀬川徹さん
藤生義春審査委員長とプロ部門優勝の瀬川徹さん

また、学生部門優勝の高田さんは「自身が小麦や乳製品を摂ることができず、ほとんどの洋菓子を食べられなくなったからこそ、普通の洋菓子と変わらない味と見た目をめざした」と作品への思いを語った。

惜しくも入賞は逃したものの、瀬川さんと同じく地域食材を使った作品で特に目を引いたのは、広島県産ナスを使った「エッグプランタタン」。広島県内の高校生が、地域の野菜消費拡大に貢献したいとの思いから地元JAに相談し、「夏場に余りがちな野菜を使ったらどうか」との助言を得て、ナスを使ったスイーツを考案した。甘味の強いカボチャやサツマイモ、ニンジンなどは生菓子の素材としてもよく使われているが、ナスはめずらしい。コクやうまみを持つナスの特徴を、変色やえぐみを抑えつつ見事にスイーツに生かした。

「エッグプランタタン」
「エッグプランタタン」

このほか、キユーピーの代替卵食品「HOBOTAMA(ホボタマ)」を使って卵・小麦粉不使用の生地を作り、アレルギーを持つ人の多くが食べられないシュークリームに挑んだ作品も注目を集めた。

「当コンテストは年々レベルが上がっているが、今年は特に学生部門のクオリティが非常に高いと感じた。若い世代へアレルギー対応スイーツの認知が広がっていることは大変うれしい。また、多くの皆様の協賛により、賞品やイベントの開催、参加者へのサポートが実現したことに感謝している。今後も、アレルギーを抱える方々にとって安心して楽しめる場を提供できるよう努めていく」(同コンテスト実行委員長・佐藤絵里氏)。

 【第5回アレルギー対応スイーツコンテスト2023概要】
▽主催=同コンテスト2023実行委員会、日本環境保健機構
▽共催=東京製菓学校、食品産業新聞社
▽後援=環境アレルギーアドバイザー支援ネットワーク、日本幼児食協会、グルテンフリーライフ協会、インクルーシブコミュニティ協会
▽協力=カフェ・フェットルマルシェ

各部門の入賞者と主催者、審査委員ら
各部門の入賞者と主催者、審査委員ら
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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
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