「じゃがいも収穫式」開催、北海道最大級の貯蔵庫に冷蔵設備を導入/カルビーポテト

(左から)カルビーポテト幕別支所支所長の杉浦大斗氏、カルビーポテト社長の田崎一也氏、JA幕別町カルビーポテト生産組合組合長の橋詰仁氏
(左から)カルビーポテト幕別支所支所長の杉浦大斗氏、カルビーポテト社長の田崎一也氏、JA幕別町カルビーポテト生産組合組合長の橋詰仁氏

北海道・十勝地方でジャガイモの収穫が最盛期を迎えている。カルビーポテトはこのほど、「じゃがいも収穫式」を帯広市内の圃場で執り行い、2024年の収穫見込みや4月に幕別町に新設した道内最大規模のジャガイモ貯蔵庫について説明した。

「今週から十勝では大々的に収穫が始まった。2023年は全道で25万トンと20年ぶりに豊作だった。2024年も直近の株掘り調査は順調で、長雨や局地的な雨がなければ大豊作になりそうだ」(カルビーポテト社長の田崎一也氏)。

カルビーグループが使用する道産ジャガイモは約25万トンで、うち約13万トンを十勝産が占める。2020年から2022年の道産ジャガイモは約23万トンとなった。2024年は2万トンの増産が見込まれており、増量分は増量キャンペーンや新商品の発売などにあてる予定だという。

2024年で3回目となる収穫式には田崎氏のほか、カルビーポテト幕別支所支所長の杉浦大斗氏、JA幕別町カルビーポテト生産組合組合長の橋詰仁氏が登壇し、加工用ジャガイモ「トヨシロ」を掘り出した。今後、道内では10月末ごろまで収穫が続き、幕別町では約1万5000トンの収穫量を見込んでいる。

機上選別を行う様子
機上選別を行う様子

ジャガイモの品種を巡りカルビーポテトでは、「ぽろしり」など、病害虫シストセンチュウへの抵抗性品種の普及を進めている。現状の約4割から2030年をめどに、早期に100%の切り替えをめざす。「ぽろしり」の増産とともに、他の抵抗性品種の開発を進める。2028年までに1万5000トンから2万トンの新たな抵抗性品種の生産をめざす。

また、2020年に連携協定を結んだホクレン農業協同組合連合会の協力のもと、函館や道南、道央には新しい育成産地が広がっており、栽培面積の拡大に伴い、今後は収穫量も拡大する見通し。「日本全体で国産ジャガイモ40万トン体制を掲げており、道産で数万トン増やし、全体量に貢献していきたい。十勝でいえば2030年頃までに3万トンほど増産できそうだ」(田崎氏)。

2024年4月の貯蔵庫完成後、カルビーポテトでは道内17カ所目、十勝で5カ所目となる幕別支所を開設した。8月5日から稼働を始めたこの貯蔵庫は、南北に長い幕別町の中央部に位置し、輸送面で生産者の作業負担軽減が図られている。一つの倉庫としては道内最大規模となる1万トンの貯蔵能力を持ち、1室あたり1000トン貯蔵できる。温暖化の影響をふまえ、10室中5室に冷蔵設備を導入した。ピークの9月上・中旬は1日1300トンのジャガイモを受け入れる。最長で翌年5月頃まで貯蔵する。 

冷蔵設備を備えた貯蔵庫
冷蔵設備を備えた貯蔵庫

幕別町の貯蔵施設には、生産者の負担を軽減する最新の選別システムを導入した。1時間で30トン、1日あたり約300トンの処理能力を持ち、ジャガイモについた土塊や根が自動的に取り除かれ、加工用と小玉に分別する。画像選別や手選別の工程を経た後、用途ごとに温度を管理し、貯蔵庫で保管する。主にポテトチップスやじゃがりこの原料として、各務原工場(岐阜県各務原市)や湖南工場(滋賀県湖南市)へ出荷される。田崎氏は「温暖化や人手不足などの課題を解決しながら生産者と消費者を結びつけ、持続可能な農業に貢献していきたい」とする。

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