ミヨシ油脂決算は増収減益、低価格志向の中で原料・物流コスト高響く
油脂加工業界は、市場の成熟化による需要の伸び悩みと生活必需品に対する節約志向や低価格志向が継続するなか、各種原材料価格や物流コストの上昇を受け、厳しい経営環境で推移したとしている。
本紙関連のマーガリン類を含む食品事業では、売上高は同2.9%減の320億9,000万円、営業利益は同46.8%減の5億4,300万円と減収減益とした。主力のマーガリン、ショートニングをはじめ、粉末油脂などの高付加価値製品の拡販に努めるとともに、販売価格の改定を行い、利益確保に取り組んだ。
また、技術開発力の強化に努め、消費者の求める「おいしさ」と「使いやすさのニーズ」に応える新製品を開発するとともに、各種展示会への出展を通じて、新規市場や新規顧客の開拓に努めた。加えて、「AIB 国際検査統合基準」に基づいた品質管理体制の徹底と合わせて、生産体制の効率化などの業務改善を推し進めたが、消費の低価格化と油脂原料をはじめとする各種原材料価格の高騰の影響を受けた。
〈ミヨシ油脂中計・最終年度売上目標を463億円に下方修正、利益目標は据え置き〉
ミヨシ油脂はより一層の付加価値の高い物づくりへのシフトや、新規市場の開拓などを目的に、16年1月から3カ年中期経営計画(16年~18年)に取り組んでいるが、決算発表をあわせて2年目の進捗状況を明らかにした。事業計画の進捗では、18年目標値として連結売上高505億円に設定していたが、昨今の動向を踏まえ、463億円に下方修正した。連結営業利益目標12億8,000万円は据え置いている。また、事業戦略の進捗で、本紙関連の食品事業は次のとおり。
△マーガリン・ショートニング・ホイップクリーム=独自技術を活かしたパン用マーガリンとパイ用シートマーガリンが伸長。健康志向に即した製品開発を推進。
△ラード・精製油=16年から神戸新精製工場が稼動。最新の技術を取り入れ、品質向上とコストダウンを目指した生産活動を推進中。
△粉末油脂=パン菓子分野で新たな機能、新たな用途を見出し、アピールを強化。DHAとEPAを含有した製品がペットフード用として需要が伸長。
△チョコレート用油脂=AAK社(本社:スウェーデン)との合弁会社AAK・ミヨシジャパンとの協力関係を強化。チョコレート用油脂製品の製造を開始するとともに販売活動を推進──としている。
〈大豆油糧日報 2018年2月14日付より〉