日本植物油協会総会、八馬史尚J-オイルミルズ社長を新会長に選出
日本植物油協会(日油協)は22日、通常総会を経団連会館で開き、17年度事業報告・決算を原案通り決めた。任期満了に伴う理事・監事選任では、久野貴久氏(日清オイリオグループ社長)を新たに理事に選任、これに伴い今村隆郎前会長(日清オイリオグループ会長)は理事を退任した。これ以外の理事・監事は全て再任された。
続いて行われた理事会では、新会長に八馬史尚理事(J-オイルミルズ社長)、新副会長には久野理事を選出すると共に、新妻一彦理事(昭和産業社長)を副会長に再任した。今村前会長は退任のあいさつで、「製油業界はまだまだ大変厳しい環境が続いているが、八馬新会長の下、新体制で業界の発展に尽力いただきたい」と述べた。
〈製油業界全体の生産性と付加価値の向上に努力/八馬新会長〉
総会後に行われた懇親会では始めに、八馬新会長が就任あいさつを行い、製油業界発展の経緯に言及した上で、「現在は油脂の健康価値への認知が広がり、用途も拡大し、外食などでの揚げ物メニューの需要も拡大している。一方で、油種によって事業環境は異なるが、菜種・大豆は全般的に厳しい状況が続いている。為替・国際市況の変動に加え、業務用市場では人手不足・物流費上昇の問題が顕在化しており、家庭用市場では流通業態間の競争が厳しさを増している。直近の状況は、昨年度と比較して良化しているが、為替や米中貿易摩擦の影響、原油相場の上昇、諸経費の上昇など、難しい状況を想定した備えが必要と考えている」と、事業環境への認識を述べた。
それを踏まえて、「今後も消費者に安全・安心な商品を安定的に提供する責務を果たすためにも、各社の強みを生かした付加価値の開発・提供とあわせて、相場変動のみならず、構造変化に伴うコストの製品価格への適正な反映という課題が、これまで以上に重要となっている。また、製油業界は日本のフードシステムにおけるコア産業の一つとして、率先して生産性革命に向けた具体的努力が求められている。日油協としても今年度は、各国・関係機関との連携を通じて、内外の植物油に関する情報提供を強化すると共に、業界全体の生産性を向上する方策を模索していく。また、サステナビリティ、環境問題の視点で、業界全体のリスク管理体制強化への目配りや、日本栄養士会との連携強化を一層進め、消費者・ユーザーの植物油の価値への理解を深めることで、業界全体の付加価値向上に努力していく」と述べた。
乾杯に際してあいさつした、久野新副会長は「植物油は健康や機能といった点で新しい価値が生まれている。これからますます、業界各社は切磋琢磨して新しい価値を生み出す必要がある。その一方で、健全な植物油市場の形成と共に、業界として持続的に発展していくには、社会からの多様な要請に対応しつつ、しっかりとした価格形成に努める必要があると考えている」と述べた。
中締めのあいさつでは、新妻副会長が日本の社会保障・介護予算の増大や、健康寿命の伸長傾向に言及した上で、「健康寿命が伸びている理由の一つとして、食生活の改善が大きく寄与していると言われる。これは食品産業界でも一つのテーマであり、やはり医療に頼らず、健康でおいしい食事により健全な生活を営むことが理想形だと思っている。植物油は健康増進に欠かせない、さまざまな機能を有しており、健康寿命の延伸に大いに役立っていると思う。フェアな競争を大前提に、日油協としてより一層努力してまいりたい」と述べた。
〈大豆油糧日報 2018年5月24日付より〉
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