業界でまちまちな表示となることを懸念/大豆団体Non表示厳格化対応
全国豆腐連合会の相原事務局長は、「消費者のための表示だ。Non-GM表示が消えたら、消費者はGM大豆が入っていると捉えてしまうことは自然な話だ。また、各社・各業界で分別流通に関する表示がまちまちになることも考えられる。やはり今回の厳格化はあまりにも強引すぎる」と述べた。
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日本醤油協会の加藤参与は、「大手メーカーはほとんどNon-GM輸入大豆を使っているが、輸入大豆で『不検出』をクリアすることはできない。Non-GM表示ではない中間的な表示、分かりやすい表示にしたいという意見が業界の中では主流だ。小規模メーカーでは国産大豆のみを使った商品もあるが、これすらもNon-GMO表示が使えなくなるのはどうか。表示をしないという選択肢もあるが、一社が表示を始めると、競争のためみんな表示するようになる」とした上で、「個人的には、Non-GMO表示をするから消費者を刺激してしまう側面はあり、表示をしないという選択肢はある。ここまで来てしまったら戻ることは難しいが」と述べた。
全国豆腐連合会の橋本一美業務執行理事は、「豆腐業界はもともとNon表示を止めようとなっていたが、一社が表示を始めたことで各社やるようになった。消費者団体の方から最近電話があり、『Non-GMO表示を止めてもらっては困る』という内容だった。消費者団体が『不検出』でまとまっているわけではない」と紹介した。
豆腐公正競争規約設定委員会の村尾議長は、「もう一度、『意図せざる混入』の許容率を冷静に議論してほしい。公定法が決まっていないのに、『不検出』とは矛盾している。混入0.9%以下で供給しているサプライヤーもいる。0.9%以下であれば分別流通でNon-GM表示を継続することが可能ではないか」と述べた。
〈公定法決まらない中で「不検出」は理解できず、消費者・マーケットが混乱〉
兼松の松本油脂課課長は、「輸入事業者の視点では、よく分からない、混乱している状況。公定法が決まっていないのに、技術的に難しい『不検出』となった時、どうなってしまうのか。過去20年間、分別流通を確立し、消費者に安全・安心を提供する手段として取り組み、米国・カナダの業界と商社を中心に精度を上げてきた。ここはしっかり評価され、継続して運用されないといけない。分別流通で100%を担保できないとなると、場合によっては米国・カナダとの貿易摩擦を引き起こす要因の一つになるのでは。生産国もコストをかけて一生懸命やってきた。また、Non表示をしないとなると、GM大豆を使った方が良い、安い大豆を使った方が良いと考える事業者も出てくるのではないか。消費者、マーケットが混乱することを強く懸念している」と述べた。
全国凍豆腐工業協同組合連合会の古畑専務理事は、「凍豆腐は実質、主要5社による業界。原料大豆は90%以上を輸入に頼っている。『不検出』ということになると、Non-GMO表示はできない。コストが高くてやっていけない」と不安感を示した。
関東大豆卸商組合連合会の木下理事は、「基本的には、表示しない方向でいくのか、別の表示で表現していくのかという話だと思う。しかし何も表示しないとなると、GMOが入っているのではと勘ぐる人もいる。関東大豆卸でもこの20年間、分別流通大豆を輸入し、流通を作り上げてきた。分別流通制度を分かりやすい表現で表示を行うのが良いと話し合っている」との見解を示した。
最後に今後の進め方について、日本豆腐協会の町田専務理事は、「基本的には『不検出』の案はあり得ないということだ。同時に、表示のことを議論してしまうと混乱するため、まずは『不検出』に対する議論を再度行ってもらうよう、豆乳やきな粉、煮豆業界などにも声がけをしながら、消費者庁に連名で要望書を提出する。マスコミにも共同リリースを行い、再考を求めていく」とまとめた。
〈大豆油糧日報 2018年6月28日付より〉
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