高まる「ごま油」の存在感 生産5万t・家庭用市場200億円を突破、生食など用途広がる
需要が堅調に拡大する中、ごま油の生産量は、2017年に過去最高の5万トンを超えた(農水省油糧生産統計)。
業務用や輸出向けも堅調だが、注目したいのは家庭用だ。SCI(全国消費者パネル調査)データでは、2017年の家庭用ごま油市場は、前年比10%増の218億円に拡大し、初めて200億円を突破した。食用油カテゴリートップの「オリーブオイル」は2%増の313億円、2位の「キャノーラ油」は2%減の295億円。3位「ごま油」の存在感が高まっている。
ごま油の家庭用市場は、昨今のオイルブームを追い風に伸長を続け、2015年に191億円と190億円台に乗り、2016年は199億円、2017年はついに200億円を超えた。健康オイルとしての側面に加えて、そのまま料理にかけて楽しむ生食用途が広がるなど、風味油としての強さを見せている。「“食用油を積極的に選択して取り入れる”ことが定着しつつある。調理面・栄養面でメリットの多いごま油は、堅調に市場拡大することが予想される」(ごま油メーカー)。
各社では、料理用途に合わてバラエティ化を進めている。かどや製油は濃口タイプ400gの好調を受けて、200gを7月に投入する。竹本油脂は今春新製品として、1回目に搾った油のみを贅沢に使用した「胡麻油一番搾り」を発売した。料理の仕上げの生食用途をとくに推奨している。
〈加工ごまは低迷から復調、各社“ねりごま”を強化〉
ごま油が堅調に拡大する一方、加工ごまは健康素材として注目されているが、天候不順に伴う野菜高騰の影響等で、とくに17年度下半期(10~3月)の販売が低迷した。今年の4月からは、野菜の価格が安定したこともあり復調している。メーカー各社は、ねりごまの販売を引き続き強化している。また、付加価値商品として有機ごまや金ごまの品揃えや販売を強化する動きがみられる。
「九鬼 黒ごまラテ」(九鬼産業)
ユニークな商品では、九鬼産業が牛乳や豆乳にとかすだけで黒ごまラテを楽しめる「九鬼 黒ごまラテ」を今春発売した。コーヒーなどの嗜好品売り場で展開しており、裾野の広がりに注目したい。
市場の活性化に向け、全国胡麻加工組合では販促ツールを用意し、記念日「ごまの日(11月5日)」に向けて市場を盛り上げていく。また、黒ごまは、白ごまとの価格差の広がり等で、この10年で市場が半減したとも言われる。同組合では黒ごまの機能性を訴求する資料を作成、需要底上げに取り組む意向だ。
〈食品産業新聞 2018年7月2日付より〉
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