Non-GMO表示「不検出」基準、実行可能性にも含み/消費者庁説明会
その中で同庁の赤崎暢彦・食品表示企画課長による、一部改正案の説明を踏まえた質疑応答では、「不検出」の基準が未だ示されていないことを質す声が上がったが、これに対して赤崎課長は、公定法について国衛研(国立医薬品食品衛生研究所)に開発を依頼しているとした上で、4年以上先の23年3月末の切り替え移行期間の間に、「信頼性と実行可能性のバランスのとれた検査法を確立したい」と回答した。現時点ではGMO混入ゼロと想定されている「不検出」の基準について、実行可能性を考慮することに含みを持たせた。
〈表示制度一部改正のポイントを説明、質疑では現行制度の維持を求める声も〉
説明会は、厚労省と食品安全委員会の担当者によるGM食品の安全性評価の概要説明、農水省の担当者による環境影響評価の概要説明に続いて、消費者庁の赤崎課長が現行のGM食品表示制度や分別流通制度の概要を説明した。さらに同庁が16年末~17年初めに行ったGM食品の消費者意向調査を紹介し、義務表示対象品目の認知率は3割程度にとどまることや、Non-GMO表示の認知率は6割に達するものの、意図せざるGMOの混入率が5%に設定されていることの認知率は3割に満たないことなどが示され、制度の周知徹底の必要性に言及した。
続いて赤崎課長は一部改正案の概要を説明した。ポイントとして、Non-GMO表示の条件となる「不検出」の公定法は開発中であること、一部改正に基づく表示は23年4月の施行にできるだけ合わせて行うこと、製品中のGMO混入率の数値表示は可能なことなどを挙げた。
さらに事業者の自主的な検査でGMO「不検出」だった場合や、例えば国産大豆やGM大豆の商業栽培を行っていない国の大豆を使用している場合でも、行政が行う検査で組み換え遺伝子が検出された場合は不適切表示となることを明確に指摘した。
質疑応答では、大豆関係事業者・団体からは声が上がらず、生協関係者、市民団体関係者による質問が多くを占めた。
その中には、GMOは不安なため、消費者の選択のためにNon-GM食品が市場に出回りやすくしてほしいとの要望や、分別流通に取り組んでいる事業者に対して厳しすぎるといった非難の声が上がるなど、現行制度の混入率5%の条件の維持を求める意見が複数回聞かれた。これに対して、赤崎課長は制度の周知を図ると共に、意見募集の結果を踏まえて、12月に予定されている消費者委員会・食品表示部会での審議などを通じて、消費者の商品選択の確保などに努める考えを示した。
〈大豆油糧日報 2018年10月17日付より〉