みそ・しょうゆの営業許可の一本化など要望/厚労省・食品の営業規制に関する検討会

大豆油糧日報 2018年11月8日付
〈多岐にわたる営業許可、HACCP制度を加味した改善を〉
厚労省は食品の営業規制に関する検討会を都内でこのほど開き、みそやしょうゆ、外食などの事業団体からヒアリングを行ったほか、営業許可対象業種の施設基準の考え方について、事務局から素案が提示された。

ヒアリングでは始めに全味噌工連は、みその事業者が取得する主な営業許可として、みそ製造業、しょうゆ製造業、総菜製造業、清涼飲料水製造業、缶詰・瓶詰製造業、ソース類製造業、菓子製造業、飲食店営業など、多岐にわたることを紹介した。その上で問題点として、みそ製造業は醸造工程がない即席みそ汁やボトル入り液状みそは含まれないことや、輸出やFDA登録時に求められる営業許可証や衛生監視票の説明書を用意できない点を挙げた。

また、複数の許可を取得している場合の更新期限が異なる手間や、自治体の規制・運用が地域によって違いがあること、自治体ごとに施設基準を定めているが、構造や設備について細かな規制があること、試作品であっても製造が認められないといった問題があることを説明した。

さらに要望では、事業者・規制当局の事務量やコストの削減、新規参入などを容易にする観点から、△みそ製造業としょうゆ製造業の一本化、△みそ製造業の範囲を広げる、△できるだけ統一的な施設基準が望ましい、△見直しでは、HACCP制度化を加味した内容に改善してほしい、△自治体と事業者の意思疎通──などを挙げた。

日醤協・全醤工連は、会員が取得している主な営業許可はみそ業界とほぼ同様とした。問題点では、1つの工場で複数の営業許可をとる必要があり、手続き、費用の点で負担がかかる。特につゆ、たれなどのしょうゆ加工品類の場合は、瓶詰・缶詰食品製造業の免許、あるいは、ソース類製造業の免許取得を求められるとした。

要望では、△しょうゆ製造業とみそ製造業を大くくりにするという案には、賛成、△ソース類その他の調味料製造業の範囲の拡大で、つゆ、たれなどのしょうゆ加工品類まで拡大させるという考え方もあるが、一方で、しょうゆ製造業の見直しの中で、つゆ、たれなどのしょうゆ加工品類まで拡大させるという考え方もあり、どちらかを選択できるように見直してほしい、△つゆ、たれなどのしょうゆ加工品類まで拡大する場合には、それによって、従来よりも営業許可の基準が厳しくなることは避けてもらいたいと要求した。

〈自治体の見解統一が最重要事項、飲食店営業で一本化を/日本フードサービス協会〉
続いて日本フードサービス協会は、外食企業で重複する業種は、飲食店営業を取得した上で、菓子製造業、総菜製造業、乳類販売業、アイスクリーム製造業、魚介類販売業、食料品販売業や飲食店営業といった条例のあることを説明した。

その上で、見直しに対する意見では、△自治体による見解の差異があり、自治体の見解統一が最重要事項、△店内でのHACCPの考え方を取り入れた衛生管理を実施している場合は、複数の営業許可は不要、△店内で、パンやクッキーなどの冷凍生地を焼成するだけの工程や、ケーキなどのトッピングなどの盛り付け工程だけで菓子製造業の取得を求められる、△ 地方のルールということで、他の営業許可を重複して要求する保健所(地方自治体)がある、△テイクアウトでは総菜製造業が求められることがあるが、総菜製造業は基準が不明確な上に、自治体で許可の要・不要がある、△許可取得のために設備変更が必要となる場合があり、その変更内容は地域により見解が異なる──などを提示し、外食は飲食店営業での一本化を要望した。

施設の共通基準の素案では、飲食店事業者、小規模事業者などへの施設の構造、配置、区画、照度、換気及び手洗い設備の洗浄設備の規定を適用するほか、HACCPに沿った衛生管理の制度化に伴う新たな規定は設けない方向とし、条例化や運用の留意点では事業の継続に配慮した弾力的な運用などが盛り込まれた。

〈大豆油糧日報 2018年11月8日付より〉