不二製油Gが環太平洋第2位の業務用チョコレート企業に、米国ブラマー社取得で

ブラマー社 ピーター・ブラマー社長(左)、不二製油グループ本社 清水洋史社長(右)
不二製油グループ本社(不二製油G)は、1月28日付で完全子会社化した、業務用チョコレート生産で世界第3位の米ブラマー社(ペンシルベニア州)の取得目的や今後の事業展開に関する説明会を2月19日、都内で開いた。ブラマー社取得は637億円を費やす大型企業買収だが、これにより同社は環太平洋地域で第2位の業務用チョコレート企業に躍り出る。この収益力を背景に、世界業務用チョコレート市場において、さらなる高みを目指す。

清水洋史社長はブラマー社のグループ化について「4年間の現中期計画で18年度は2年目、起承転結では承に当たり、次年度の転に向けた準備の年。当社には大きな変革が必要と考え、思いきって取得を決めた。収益力を高め、PBFS(植物性食品によるソリューション)により持続可能な開発目標(SDGs)を実現するためだ。代用油脂、代用たん白を長く扱ってきた当社だが、5年、10年後にはこれらが重要になる。この方向に進んでいきたい」と述べた。

説明会にあたり、ブラマー社のピーター・ブラマー社長が同社の概要を説明した。18年5月期の売上高は9億700万ドル(約1,000億円)、著名な多国籍企業も含めて北米で800社以上の取引先を持ち、北米4カ所と中国・上海に生産拠点を有する。

売上高構成比は、ココアパウダー・バターなどココア製品が30%、残り70%がチョコレート製品だが、近年は市場トレンドに即して、エネルギーバー向けのコーティングチョコレートや、サステナブル・オーガニック製品、プレミアム製品など付加価値製品に注力している。

また、世界ココア基金の創設メンバーであるなど、業界におけるグローバルリーダー的な存在であるほか、サステナビリティを重視する立場からカカオ産地の教育・福祉支援にも取り組んでいるとした。

その上でブラマー社長は、不二製油G傘下となる意義について、グローバル展開の拡大や調達・サプライチェーンの効率化、製品の相互販売、不二製油Gの技術を生かしたイノベーション、カカオ・油脂のサプライチェーンにおけるサステナビリティの取り組み強化を挙げ、「業務用チョコレート企業として強いポジションを確保できる。さらに世界2位を狙えるチャンスは十分あると考えている」と述べた。

〈米国市場にも参入、相互補完で世界チョコレート市場における競争で優位に立つ〉
続いてブラマー社会長を務める、不二製油Gの酒井幹夫取締役CSO(最高経営戦略責任者)が、事業展開を説明した。酒井取締役は現中期計画で掲げるコアコンピタンス(中核となる強み)強化の方針に沿って、15年にブラジル・ハラルド社、16年にマレーシアのGCB社、18年に豪州のIFS社を相次いでグループ化し、チョコレート事業を強化する企業買収を進めてきたと前置いた。

その上でブラマー社のグループ化に至った理由として、環太平洋地域で10カ国16拠点体制を有する第2位の業務用チョコレート企業に成長し、世界の関係企業がアジア市場重視の方針を打ち出す中で、今後の競争の上で優位に立てることを挙げた。

次いで、単一国では世界最大規模であり、高付加価値製品が伸びている米国市場への参入実現、油脂を軸とした技術やサステナブルなパーム油調達ノウハウを持つ不二製油Gと、カカオを軸とした強みを持つブラマー社とは、相互補完・シナジー発揮という観点から最適と認識していることを挙げた。

最後に酒井取締役は今後の展望として、環太平洋地域で業務用チョコレートトップを目指すことや、グループの中核事業としてチョコレート事業の成長を図ることで継続的に収益を生み出し、他の事業のけん引する体制を構築する考えを示した。

〈大豆油糧日報 2019年2月20日付〉