納品期限緩和で物流センターの期限切れ発生削減効果/食品ロス削減・商習慣WG活動報告
流通経済研究所が事務局を務める、食品ロス削減のための商習慣検討WG(ワーキンググループ)はこのほど、日配品、加工食品それぞれの検討会が、18年度活動報告(日配品は既報)をまとめ、加工食品の検討会では、中間流通における納品期限の緩和の効果検証などと共に、賞味期限の年月表示化について検討した。
活動報告では、卸売業の汎用物流センターにおいて、賞味期限180日以上の菓子を対象に、取引先の納品期限を賞味期限2分の1残しに1カ月間緩和して効果を検証した結果、納品期限切れ発生数・金額の削減効果が確認されると共に、取引先でも問題は生じなかったことなどを踏まえ、さらに汎用物流センターにおける納品期限緩和を推進する方向性を確認した。賞味期限の年月表示化についても、賞味期限延長と合わせて取り組みが広がっていることを確認すると共に、納品における日付逆転の発生を減らし、在庫の効率運用と食品ロス削減に効果のあることを確認した上で、さらに取り組みを進めることとしている。
〈納品期限緩和を提案しやすい環境整備を、消費者にメリット伝える必要性も〉
同検討会にはメーカー委員として、味の素、江崎グリコ、日清食品、コカコーラボトラーズジャパンなど6社、小売業委員として、イトーヨーカ堂、サミット、ファミリーマート、日本生活協同組合連合会など7社、卸売業委員として国分グループ、三菱食品など3社に加え、学識経験者、関連団体、農水省の担当者などが参加している。
始めに中間流通の納品期限の緩和について、参加している卸売業委員のヒアリングでは、汎用物流センターの入荷は賞味期限6分の5残し、あるいは4分の3残しを原則としていることを踏まえ、北海道の汎用物流センターで今年1~2月の1カ月間、賞味期限180日以上の菓子を対象に、出荷先40企業の納品期限を賞味期限2分の1残しに統一して緩和し、その効果を検証した。
その結果、同センターの納品期限切れ金額の削減と、納品期限統一による作業軽減が確認されたほか、取引先でもでも値引き率や廃棄率の上昇といった問題は生じなかったため、さらに検証を継続しながら、汎用センターでの納品期限緩和が進むよう努めることとした。
一方で、大手食品スーパーで納品期限緩和が十分進んでいないため、中堅規模の小売業が踏み切れないケースのあることなどが報告され、卸売業から納品期限緩和を提案しやすい環境整備を図っていくことも盛り込まれた。
また、加工食品の納品期限緩和の品目拡大の検討では、現在対象としている菓子、清涼飲料水に加え、総合スーパーで袋麺、カップ麺、レトルト食品、コープデリ生活協同組合連合会で賞味期限180日以上の常温加工食品全般、コンビニでカップ麺を対象に実証実験を行った。その結果、カップ麺は総合スーパー、コンビニ共に問題はないことを確認、袋麺、レトルト食品も販売後の家庭内在庫期間を考慮しながら、緩和を前提に検討すべき品目と確認した。さらに、180日以上の常温加工食品全般についてもコープデリでは特段の問題は生じておらず、サプライチェーン全体での食品ロス削減を実現するため、各小売事業者が積極的に緩和に向けた検討を行うこととした。
ただ、とりまとめの議論では、消費者に緩和のメリットを伝える必要性が強く言及されたほか、競合を気にする食品スーパーは、足並みをそろえる形で取り組む必要性も提言された。賞味期限の年月表示化については、小売業委員も異論は無いとしながらも、トレーサビリティ管理に賞味期限日を用いており、その改修にはコストがかかる可能性が言及された。ただ、メーカー側は納品における日付逆転の問題は、食品ロスにつながる在庫となりやすいことや、商品の安定供給や物流問題改善のためにも納品期限の緩和と共に、不可欠な取り組みだと強調した。
〈大豆油糧日報 2019年4月12日付〉