有機みそ「こだわってます」好調、世界を見据えた戦略展開/ひかり味噌・林善博社長

ひかり味噌・林善博社長
ひかり味噌の有機みそ「こだわってます」の販売が好調だ。海外ではすでに、オーガニックみそシリーズを立ち上げ成功している。ようやく日本の消費者にも有機みそが本格的に受け入れられる時代がきた。そこで、常に世界を見据え製品開発から販売までをこなす林善博社長に同社の海外展開と日本における販促施策についてうかがった。

──19年上期(18年10月~19年4月)の業績推移をお聞かせください。

出荷量は前期比3%増で推移している。加工品が伸び悩んでいるが、下期で取り戻せるとみている。

みそで3%増、加工品で2%増はいくとみている。しかし、これでは予算未達成になる。みそは全般にいいが、伸び率でみると有機みそが健闘している。「こだわってます」は10%増となっている。拡販政策の対象にしたことも影響している。無添加みそと有機みそに力を入れていくという考えは変わらない。有機みそは競合他社の価格が高いので、優位に立てる。また、流通は意図的に有機みその棚を拡充しようという考えがあるようだ。

輸出では、オーガニックみそというシリーズで、アイテム数もかなり販売している。海外では、みその需要が伸びており、他社よりも当社の方が有機みそに力を入れていることから、競合優位にたてている。

〈海外事業上期目標の15%増クリア、ラーメンブームが後押し〉
海外では、業務用の有機みそも伸びている。米国では1Lのみそスープがスーパーで売られているが、そのほとんどが有機みそ。品質やコストを考えると、当社にオーダーしてくるケースが多いようだ。

海外ではラーメンがブームで、みそメーカーにとっても大きなチャンス。米国では、スーパーの小売品として、ラーメンの関連商材がどんどん増えている。

──海外ビジネスの売上目標を教えてください。

上期の目標は15%増だが、すでに超過達成となっている。ラーメンブームはまだ続いており、いくらだってチャンスはある。おいしい汁と麺の組み合わせは世界中のどの民族も好む。それにわれわれみそメーカーはどうやって関与していくか。海外ではみそを自由にアレンジしてもっと使ってもらうべき。日本の考えを押し付けてはだめだろう。
 
──今年の新製品「麹の花 無添加オーガニック玄米味噌」と「同麦味噌」への反響はいかがですか。

玄米みそは国内で初めてだが、海外では3年前から販売している。このみそはマクロビを意識した商品。塩にもこだわり、長期熟成にした。麦みそは製品化するまでに2年かかった。九州のみそらしい味がなかなか再現できなかった。今回は麦独特の癖のある匂いが再現できており、流通への導入は進んでいる。

──「アスクドクターズ医師の確認済み商品」マークを取得しましたが狙いは。

「円熟こうじみそ」シリーズは次から次へと販促を入れていかなければいけないので、その一つの切り口と考えている。日本最大級の医療従事者向け専門サイトに登録している100人会員医師にアンケート調査を実施し、高評価をいただいた。今後は「円熟」のすべての商品にそのマークを入れて販売することになっている。その後はプレゼントキャンペーンも控えており、SNSでの動画配信で、「円熟」のファンづくりにも取り組みたいと考えている。

──ハーキスフィンランド野菜そぼろに対する反響はいかがですか。

まだ発売して間もないので分からないが、売価が思ったよりも高く設定されているケースがあるので、売れる売価に誘導していき、店頭では試食販売を展開していきたいと考えている。

今、ちょっとしたフィンランドブームで、今年は日本とフィンランドの外交関係樹立100周年、また埼玉県に北欧をテーマにした商業施設がオープンしたりするなど話題が尽きない。 現在は東京と大阪の都市部のスーパーで販売されているほか、ネット通販でも販売しており、ネットでの引き合いはかなりある。

──ゆくゆくはハーキスからライセンスを取得して日本で「野菜そぼろ」を生産する計画と聞いておりますが。

1年間販売すれば、様子が分かるので、今から3年後ぐらいには実現したいと考えている。今年は売れ筋のデータをとって分析して、生産計画を立てられるようにしたい。生産する機械もハーキスと同じものを導入するかどうか、また日本向けの味付けにするかどうかも課題としてあるので、今後はそうした課題をクリアしていかなければならない。

──原材料費、物流費などの高騰で値上げをする食品メーカーが増えていますが、御社はみその値上げの予定はありますか。

具体的な計画はないが、関心は持っている。業務用関係では一部の商品で検討している。商談ベースで都度対応していきたい。市販品も段階的に上げることを考えていきたい。上げなければ、企業体力がもたない。人件費や物流費など高騰しているので、秋口当たりで、一部の商品は価格転嫁させていただきたいと考えている。

〈大豆油糧日報 2019年4月17日付〉