かどや製油 ごま油家庭用商品で値上げ、濃口・純白ごま油の拡売を実施

かどや製油 小澤二郎社長
〈業務用油は値上げによる適正価格でのシェア確保に努める/小澤社長〉
かどや製油は5月29日、決算説明会を都内で開き、小澤二郎社長が19年度の経営方針などを説明した。

ごま油の18年度の販売は、家庭用、業務用、輸出用いずれも拡売により、販売数量が増加したが、円高の影響で輸出用の販売金額はやや減少した。これを踏まえて、19年度のごま油家庭用商品では、「原料価格の高騰や物流費の上昇を受け、値上げを実施する。一方で、濃口ごま油、純白ごま油の拡売を積極的に行い、伸長を目指す」とした。

ごま油の業務用では、「前年に引き続き、値上げによる適正価格でのシェア確保に努める一方、600gペット製品の家庭用市場での拡売に注力する」とした。

ごま油の輸出用では、「販促の強化、新規PB案件の開発などにより、販売数量の増加を目指す。数量の増加に伴い、販売金額も増加することを見込む」としている。

18年度の食品ごまは、家庭用は積極拡売により大きく伸長したが、業務用は値上げの影響から前年並みに止まった。これにより、19年度の食品ごま家庭用では、「食品ごま、ねりごまともに積極拡売し、さらなるシェア拡大を図る。ねりごまはスパウトパウチ容器の商品に期待している」とした。

また、業務用では、「前年に引き続き、値上げを行う。ねりごま製品は微細粒度が特徴の極細ねりごまを中心に新規獲得に取り組む」としている。

輸出用ごま油の販売数量は約5,700tとほぼ前年並みとなった。これにより19年度は、主要市場の北米では、販促を強化し、シェアを拡大、その他の市場では既存ルートでの販売強化による販売増、業務用向けのユーザー向け提案強化により、販売増を目指す。また、新規案件の獲得にも取り組み、タイやドイツ、米国の海外展示会へ積極的に出展する。欧州・オセアニア・アジア・南米での営業活動も継続し、新規案件の獲得に挑む。

〈料理教室でごま製品の栄養価や機能性を訴求、レシピ検索サイトとの連携も強化〉
売上拡大策では、ABCクッキングスタジオと東日本料理学校協会と連携して、ごま油や食品ごまを直接使い、講師からごま製品の栄養価や機能性を訴求し、認知度の向上を図る。料理雑誌「dancyu」とのタイアップでも料理教室を実施して、著名な料理人からごま油や食品ごま使用のレシピを伝えることで、既存顧客の育成、新規顧客の獲得に取り組むとしている。

日本最大のレシピ検索サイト「クックパッド」や「ナディア」との連携も強化する。レシピ提案やレシピ募集をすることで、商品認知度、用途汎用性、使用価値の向上を図るという。

広告では、ウェブサイト、SNS(インスタグラム、ツイッター、フェイスブック)、ユーチューブ、料理雑誌、業界誌を中心に企業広告を出稿していく。また、交通広告では「電車ステッカー広告」を実施し、長期間の掲出により、商品の認知獲得やメッセージの刷り込みに強い効果を期待する。

他社とのコラボレーションでは、森永製菓のポテロングをごま油風味にした商品を、カルビーとは「堅あげポテト しおとごま油風味」をそれぞれ期間限定で発売した。また、ジャパンフリトレーではごま油と塩味のポップコーンを6月から発売する予定だ。

通信販売限定商品では、「ごまセサミン」を中心に広告プロモーションを展開し、新聞、ネット広告に加え、テレビ広告を積極的に活用していくとした。

同社傘下のカタギ食品が創業100周年を迎えるにあたり、記念商品として数量限定で「金いりごま」を発売した。鉄釜焙煎で金ごまの風味を最大限に引き出し、香ばしさの高いプレミアム商品として、感謝セールを実施中だ。

〈大豆油糧日報 2019年6月4日付〉