オリーブオイル 市場成長が急加速、生食など新用途広がる スペイン産中心に産地価格も安定

主要各社の新商品(昭和産業「オリーブオイルライトテイスト(600g)」、Jオイルミルズ「軽くてあっさりしたオリーブオイル(910g)」、日清オイリオグループ「BOSCOプレミアム エキストラバージンオリーブオイル456g」)
〈キャノーラ油を追い越し家庭用油市場のカテゴリートップに〉
家庭用オリーブ油市場の成長が今年に入り急加速している。

取り扱い各社の企業努力により、本格風味のアッパータイプから、ライトユーザー向けの汎用タイプなど、商品ラインアップが年々強化されると共に、生食用途や卓上調味料的な用途といった新しい用途提案が拡大。エクストラバージン主導で基礎需要が大きく拡大する中で、2017年度まで断続的に続いたイタリアなど主産地の不作による現地価格高騰も収まり、スペイン産中心に価格が安定していることも推進剤となっている。

2018年度には1400億円規模の家庭用油市場で、家庭用オリーブ油は400億円の大台を突破し、カテゴリートップの座に長年君臨していたキャノーラ油も追い越した。今後は名実共にトップランナーとして、家庭用油市場だけではなく、食品市場全体をもけん引する役割が期待される。

オリーブオイルの輸入量と単価の推移

オリーブオイルの輸入量と単価の推移

〈若年層・子育て層や外食・業務用市場に開拓の余地〉
健康軸のプレミアムオイルの代表格というだけではなく、商品の多様化や価格の安定化により、キャノーラ油など汎用油からのシフトも加速している家庭用オリーブ油。洋食だけではなく、和食にも合う用途の奥深さが広まるにつれて、製油メーカーによれば、ヘビー層からミドル層の購入量は、さらに増加傾向にあるとしている。
 
この上でなお、オリーブ油は成長カテゴリーであり続ける可能性がある。その理由は、20~30代の若年層・子育て層と、外食・業務用市場がまだ開拓途上にあることだ。製油メーカーによれば、若年層・子育て層は主に価格面と、エクストラバージン特有の風味を子供が好まないことが、普及啓発面でハードルになっていると認識している。そのうち価格面は、3~4年前の主産地不作による高騰時と比べると相当軟化しており、ハードルは下がりつつある。風味の面では、製油メーカーは店頭やイベントを通じた地道な試食提案と共に、くせがなく軽い風味の汎用ピュアタイプ商品の品ぞろえを強化することで、トライアルを促進する考えだ。
 
オリーブ油という観点では、今や取り残された感もある外食・業務用市場においても、製油メーカーでは風味やコスト面でバランスの取れた商品とメニュー提案を合わせて、普及に努めていくとしている。