脚光を浴びる大豆ミートビジネス 三育フーズ、「大豆ミートで作りました」など常温のレトルト・缶詰を製造
三育フーズは米国から宣教師が来日し、クッキー類の販売で食品事業をスタートし、その後、製菓・製パンや、植物たん白の缶詰の製造も開始する。グルテンを抽出して代替肉としたのは三育フーズが日本初だという。
植物性たん白食品には、卵や乳を用いないヴィーガン対応商品もあるが、歯応えなどを肉に近づけるため、卵と乳を使っているという。ただ、カラメル色素やアミノ酸調味料などは使わず、「唯一、酵母エキスまでと線を引いて食品作っている」(三育フーズ)のがこだわりだ。味付けした缶詰の商品は常温で2年、レトルト商品は常温で1年持つ。
これらの植物たん白食品は自社工場で作っており、レトルトハンバーグのパティのみ外部工場に製造委託したものを仕入れている。
主力商品は手軽なレトルトの「大豆ミートで作りました」と、大豆を主原料としたウインナーソーセージ風の缶詰「リンケッツ」だ。
三育フーズ 大豆で作ったソーセージタイプ「リンケッツ」
特に「大豆ミートで作りました」シリーズの「デミグラス風野菜大豆ボール」は昨年秋に発売して以降、反応は上々だという。
同じくレトルトの「麻婆豆腐の素」は、大豆たん白のひき肉とソースが入っており、豆腐を加えるだけで手軽に麻婆豆腐を作ることができる。春には新商品として、同じ大豆たん白のひき肉を使ったキーマカレーも発売する予定だ。
三育フーズ「麻婆豆腐の素」
「大豆のハム」やミートローフ風に加工した「大豆ローフ」も、そのまま食べられるようにしており、サラダやおにぎり、サンドイッチなどにも幅広く使うことができる。
〈メニュー提案に強み、素材缶詰に近く食べ方広がる「リンケッツ」〉
一方、家庭用の原料として発売している「三育大豆たんぱく」シリーズは、調味料の助けが必要としている。たとえば「細切り」は市販の青椒肉絲の素で調理することでおいしくできる。
「三育大豆たんぱく」シリーズ
「植物たん白食品が各家庭で食べられるかは料理方法が大事で、そこが勝負」(三育フーズ)というように、メニュー提案に三育フーズの強みがある。「リンケッツ」もアレンジできるよう、素材缶詰に近くした商品だ。「手を加えて料理してもらうため、味をうすくしている。そうすることで食べ方が広がる」(三育フーズ)。
ベジミート市場は盛り上がりを見せているが、今年から徐々に見積もり依頼が増えているという。東京五輪で多く来日する外国人のベジタリアンに利用されることも期待する。 三育フーズは昔から「植物性たん白食品」を使っていたが、「ワードとして弱いので、『大豆ミート』を使って消費者の目に留まるようにしている」(三育フーズ)。
大豆ミートは冷蔵や冷凍にはコーナーも設けるところもあるが、「常温ではこのカテゴリーがなく、棚を作らないと商品が入らない。ブームを機に流通から声がかかると助かる」(三育フーズ)。常温棚に大豆ミートコーナーができることも期待する。
〈大豆油糧日報 2020年2月5日付〉