やまみ 高単価・差別化商品のウエイト高める、利益は新工場のコスト増重く/2020年6月期中間決算
第2四半期決算は、売上高は前期比10.0%増の60億3,300万円、営業利益は同55.7%減の2億2,500万円、経常利益は54.3%減の2億3,300万円の増収減益だった。
山名社長は始めに、関東地方への本格導入の遅れなど、第1四半期決算発表時に通期予想を下方修正した背景に言及した上で、「富士山麓工場は4月以降、売上増になる見込みであり、解決に向かっていくのでは」とし、今後に期待を寄せた。
第2四半期業績に関しては、売上高は関東市場での本格展開の遅れがあったものの、本社工場、関西工場の売上は伸長したと説明。さらに、高単価商品や差別化商品のウエイトを高めてきたという。加えて、暖冬傾向に影響があったものの、同業者の経営破たんにより、安定供給できる同社がその受け皿となり、プラス要因になったとする。
利益面に関しては、「富士山麓工場の売上高は現状、低い状況。そこに、工場稼働に係る人件費、減価償却費などが影響し、大幅減益となった」と厳しい状況だったと話した。その一方、「関東は付加価値が認められる市場だ。価格は下げずに粘り強く取り組んでいる」と今後の動向に期待を寄せた。
取り組みとしては、継続して単価改善に取り組んでいると強調。それにより、両面焼きで、小分け・パック内カット済みと、多工程でありながら、全自動で高い製造量を実現している点が評価されたという焼豆腐は、2018年度上期に単価改善(5.5%高)を図り、今期もその単価を維持しつつ、数量で約30%伸長した。
このほか、自動ラインによる木綿厚揚げも、今春から大手企業で、秋口からは全国チェーン企業で採用が決まりつつあるという。今後も、価格訴求商品(絹、木綿)のウエイトを下げ、価値訴求商品(焼豆腐、木綿厚揚げ、べに花の油揚げなど)の提案を強化、稼ぎ柱(カット3パック木綿・絹)などは維持・拡大を図っていくとする。
〈コンビニメニュー用など業務用に手応え、おからパウダーは業務用にも力〉
また、業務用商談の成果にも言及した。麻婆豆腐用の600g・一口サイズ75分割の絹豆腐は、全自動化による大量生産(毎時5,000個)が可能で、今年4月から、コンビニの一部メニューにおけるメインメーカーとして加わることができ、今後の売上に貢献していくと期待を示した。「富士山麓工場ができ、関東エリアにも展開できるようになったことや、量や質が認められつつある」と手応えを見せた。
設備投資の状況は、2019年9月に富士山麓工場を稼働開始した。富士山の湧き水で作る豆腐は、他社に真似できないとして、評価を得ているとする。また2019年8月に、関西工場でおから製造設備を新設したが、「業績予想を修正した要因の1つがおからパウダー。ブームが去ったような感じがある。当初、月次売上高4,000万円を目標としていたが、現状は約1,000万円という状況」と、厳しい進捗だと述べた。質疑応答では、おからパウダーの今後の展開について、「同部門がプラスに転じるまで方向性を変え、業務用のウエイトを上げていきたい。市販用は、販売売価は崩さず、納品売価を下げる施策を取る」と話した。
通期では、売上高は2019年比6.6%増の116億円、営業利益は67.0%減の3億1,100万円、経常利益は65.2%減の3億4,000万円を計画する。下期の取り組みは、関東市場をターゲットとした新商品として、高単価の80g小口タイプ「湧々とうふ」(2P、4P)を投入するなど、引き続き価格是正の取り組みとともに、同社の強みを訴求できる商品の開発と、市場開拓を推進していくと述べた。
〈大豆油糧日報2020年2月21日付〉