大豆ミート関連商品が続々登場、家庭用商品の売場での浸透が定着のカギに
大豆ミートは業務用ではヴィーガンやベジタリアンも多い訪日外国人の需要もあり、レストランや飲食店のメニューで拡大しているが、小売向けは「日販、週販ではなく月販のレベル」(メーカー)と回転率は高くなく、専用の売場が設けられているスーパーも限られている。一過性のブームで終わることなく定着させるためには、家庭用商品の売場での浸透がカギになりそうだ。
大豆ミートを含むプラントベースフード(植物性食品)は、右肩上がりの成長を続けることが期待されている。「人工肉」の括りでの世界市場規模は、日本能率協会総合研究所の予測によると、2023年には1,500億円にまで拡大するとされる。
また、大塚食品によると、「肉代替商品」の市場規模(2019年)は、米国で約1,500億円、EU2,000億円の市場で、日本は2016年から市場が年率1.3~1.7倍で伸び、2022年には254億円になる見通しだという。ただ、伸びてはいるものの、日本は欧米に比べるとその規模はまだまだ小さいといえる。
チャネル別で見ると、業務用に関しては、ホテルのヴィーガン向けメニューをはじめ、健康訴求のオーガニックレストランのみならず、通常の飲食店でも大豆ミートを取り入れたパスタやカレーを提供しているところは徐々に増えているもようだ。大豆ミートのメーカーからも、「食文化をつくるのは外食。業務用は広げていく」という方針も聞かれる。また、学校給食向けにも一定の需要があるようで、全国に大豆ミートを供給しているメーカーもある。
一方、家庭用を見ると、ネット通販は増加しているようだが、スーパーなどの小売の販売は、「露出が増えているが、それほどというのが現実的なところ」(メーカー)。冷凍畜肉コーナーに大豆ミートが採用されたというメーカーからは、「既存の畜肉の倍くらいの値段になる。選択肢のある人にとっては高いだけの商品で売れにくいのが現実」とシビアな見方もなされる。
さらに外部環境も逆風となっている。大豆ミート売場を設けているスーパーの店長によると、「試食販売をした時は、良く売れる」と効果は高いようだが、現在は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、店頭で試食販売を行うのは難しい状況だ。また、訪日客の大幅な減少から、業務用の影響も避けられない。
プラントベースフードに注目が集まっている背景には、健康意識の高まり、将来的な食糧危機の回避、地球環境の保護といった要因があるが、あるメーカーからは、「健康な食品はたくさんある。健康プラス植物性肉でなければ駄目なニーズが必要」と課題を挙げる。
それでも、大手メーカーや大手卸の参入により、カテゴリーとしての注目度が高まっているのは間違いない。甘酒や塩こうじ、サラダチキンなどの例を見ても、複数の商品が出そろうことで、売場づくりもしやすくなる。家庭用市場の拡大につなげていけるか、勝負の年になる。
〈大豆油糧日報2020年3月16日付〉