〈大豆ミートビジネス最前線〉グリーンカルチャーが通信販売で好調、「ベジタリアンの本当に欲しい食品が手に入る」との声
ベジタリアン食品専門の通信販売企業としてスタートしたグリーンカルチャーは、卸売販売、製造開発事業と事業を拡大しながら、業界でも存在感を増してきている。ネットによる通信販売では、「ベジタリアンの本当に欲しい食品が手に入る」として、リピーターが増加しており、その積み重ねが同社のビジネスを押し上げ始めた。
評判は評判を呼び、外食や中食など業務用としてのニーズも高まってきたことから、少量から卸価格で、植物性食品の提供を開始した。営業に必要な分だけ発注できることから、気軽に扱えることも、売上が伸びてきた要因だといえる。売上の伸び率も前年比2ケタ増をキープしており、今後はさらにその勢いに拍車がかかるものと考えられる。
同社の金田郷史社長は、学生の頃からベジタリアンだった。海外留学時代には、周りの人間がベジタリアンに対して何の偏見もなく、受け入れてくれたことに驚いたという。当時、日本では、ベジタリアンというと、「どこかの宗教なのか、普通の人と違う」といった偏見の目で見られた。
また、ベジタリアン向けの食品は普通のスーパーなどでは販売しておらず、入手するのに手間がかかった。こうした状況をみて、金田社長は、「必ず日本にも菜食主義者がいるはず。一般消費者が植物性食品を購入したいというニーズは今後、日本にもおとずれる」と確信していたようだ。
同社は2011年創業、ベジタリアンならではの着眼点をもった金田社長は、ベジタリアンが本当に欲しい植物性食品を選び、自ら提供し始めた。その評判が飲食店などからの業務用ニーズを生み、卸売事業へと発展。さらには、食品メーカー、商社、スーパーマーケットなど向けに植物性食品のOEM製造受託も開始し、ベジタリアン自身が本当に欲しい食品の開発も手掛け始めている。
〈国内最大級のベジタリアン通販を運営、大豆ミートではそぼろタイプが一番人気〉
取扱商品は、そぼろやばら肉などの「大豆ミート」、チキンナゲットや餃子などの「冷凍食品」、ラーメンスープなどの「液体調味料」、和風だしや中華だしの「粉末調味料」、ブロックやスライスもそろえた「植物性チーズ」となっている。
同社では、国内最大級のベジタリアン通販サイト「グリーンズベジタリアン」を運営している。「大豆ミート」ではそぼろタイプが一番の人気商品だ。単価が安く、汎用性が高い形状であることが好調の理由だそうだ。
また、大豆ミート以外では、冷凍の植物肉製品が人気で、特にプラントベース・ソーセージという製品が売れているという。理由は、畜肉のソーセージと同程度の味香り食感が再現されており、製品価格も割安に提供しているためとし、味香り食感については「畜肉のものと区別がつかないと言っていただけることが多い」と評価が高い。
さらに、「冷凍の植物肉では揚げるだけの大豆ミート唐揚げも人気。こちらも鶏のから揚げのような味香り食感となっており、満足度の高い商品で、かつヴィーガンに対応しており、インバウンドでの需要が多い」としている。
植物性食品の市場展望では、「米国には動物性の肉を好んで食べる習慣があり、もともと畜肉が大好き。病気などの理由で健康のために食事を菜食に変えなければいけないが、どうしても動物性の肉を食べたいというニーズが根底にある。そこで、味や食感が似ている植物肉への需要が高まっている。消費者からのニーズが高く、その需要に対して植物肉を提供している構図だ。しかし、日本では供給側からの提案が先行しており、消費者から植物肉の強い需要があるわけではない。そのため、オリンピックなどによるインバウンドがもたらす需要がどのくらい高まるのかに期待したい」とし、慎重な姿勢をみせている。
〈大豆油糧日報2020年3月18日付〉