長期保存可能な無菌充てん豆腐の認知向上か、「巣ごもり需要」きっかけに

「お料理向き 森永とうふ」「森永 絹ごしとうふ」
新型コロナウイルス感染拡大に伴う「巣ごもり需要」で、保存性に優れた食品の需要が高まっている。豆腐では、長期保存できる無菌充てん豆腐の認知度向上につながっているもようだ。

森永乳業は、18年に豆腐の規格基準、食品表示基準が改正され、無菌充てん豆腐の常温販売が解禁されたことを受け、宅配専用の「森永とうふ」シリーズを、19年1月に常温保存可能品として展開を開始した。賞味期限は195日。「お料理向き 森永とうふ」「森永 絹ごしとうふ」の2種類をそろえている。

牛乳の無菌充てん包装を応用したロングライフ技術と、バリア性の高い6層構造の紙パックの採用で、保存料や防腐剤を使用せずに長期保存を可能としている。同社担当者によれば、なるべく外出の回数を減らすため、同シリーズに興味を持つ消費者が増えているという。「全国的に、商品に関する問い合わせや注文が増えている」(同社)。

他方で、同社が昨年に実施した調査(調査協力ドゥ・ハウス、4,998人が対象)では、常温保存可能な豆腐に関して、特徴を含めて知っている人の割合は、全体の10%程度に留まるなど、認知度向上を課題としている。同社は、「外食自粛により困っている方を助ける食材として、不足しがちなたん白質が摂取でき、長期常温保存が可能な『森永とうふ』シリーズを活用してほしい。引き続き、情報や商品の提供を続けていく」と、さらなる広がりに向けて意気込みをみせる。

さとの雪食品は、空気や光を通さない特殊な紙容器と、独自の豆乳殺菌法により、保存料を使用せず長期間(180日間)おいしく食べられる「四季とうふ」などを展開している。「開けたときが、できたての味」を実現する。

さとの雪食品「四季とうふ」

さとの雪食品「四季とうふ」

同社によれば、「『四季とうふ』は、4月7日に政府から緊急事態宣言が発令された際、いくつかの量販店で引合いがあり、その量販店からは、通常の約5倍の発注があった」という。生活に欠かせない食料品の買い物は通常通りできるため、その後は商品動向に目立った動きは無かったとするが、「今後、買い頻度をもっと控えるなど大きな動きがあった場合は、商品の動きに変化が出てくるかもしれない」と見ている。
 
同社では、長期保存可能な紙容器入り豆腐において、常温保存が可能な新商品も検討しており、物流面などを含めて慎重に検証を重ねていく考えだ。
 
〈大豆油糧日報2020年5月12日付〉