Jオイルミルズ 各事業会社のブランドを抜本的に見直し、SKU削減は300品目
八馬社長は減収減益となったことについて、家庭用は需要増加したが、業務用の需要が減退し、利益については数量減が主要因と振り返った。5月の決算会見時に発表した新型コロナウイルスの影響による外部環境については、「第1四半期の厳しい環境も全体としては想定の範囲内だった。外食のユーザーはさらに厳しい。われわれとして提案でどう役に立てるか、総力を挙げて取り組んでいきたい」と意気込みを語った。
2020年度の3つの重点施策のうち、1つ目の家庭用商品の収益力拡大については、一部商品で休売があったことに触れ、「第2四半期以降、供給体制を整えて拡大していく」とした。2つ目のコスト競争力の強化と筋肉質化では、SKUの削減と物流コスト改善、一般経費の圧縮を掲げている。そのうち、SKUの削減は油脂20%、油脂加工30%、スターチ40%と3事業合計で300品目の削減を目指している。売上高は終売によって10億円強の減少を見込む反面、営業利益は今期末から来期にかけて3~5億円の利益改善が見込めるとしている。
300品目の中身について八馬社長は、「一部PBもある。また、統合してから各事業会社のブランドで中身は同じ商品を展開した事例があるが、抜本的な見直しを行い、一部終売した商品もある」と説明した。
3つ目のアフター・コロナ&ウィズ・コロナを見据えた働き方改革と意識改革については、リモートによる商談やオンラインショップ開設といった取り組みを紹介し、「移動時間を含めメリットがある。また、技術が同席できるので技術面の話もできる」とリモート商談の利点を挙げた。さらに「おいしさデザイン工房」では、ZOOMと動画配信での提案活動を行っている。ユーザーの元に営業が訪れZOOMを設定して商談を行っているほか、事前に撮影した作り方動画とともに試食を行うなど、電話よりも分かりやすい提案が可能だという。
新商品として、えごま油、アマニ油の「オメガ3」シリーズをリニューアルしたが、「オメガ3の認知は上がってきている。一層の市場拡大に取り組みたい」と述べた。
〈6月から搾油調整、家庭用は6月落ち着くも7月後半以降は定番含めて伸長〉
また、服部広取締役専務執行役員油脂事業本部長は、第1四半期の油脂の販売実績について、「家庭用はほぼ前年並みくらい。休売が一部あり、本来ならもう少し伸ばさないといけなかった。業務用は2割弱ほど落ちた。外食が相当厳しい」と説明した。
工場稼働への影響については、「業務用が落ち込み、家庭用でカバーできないため、搾油量を減らさざるを得ない。在庫を抱えることはしないので、6月から搾油の調整はした」と述べた。
第2四半期以降の見通しについては、「4~5月まで巣ごもり需要で家庭用は伸びたが、5月後半から6月は落ち着いた。7月に入って、東京でも感染者数が増えており、また、7月後半以降は家庭内在庫の消化もあるのか、定番を含めて家庭用の伸びが見られる」と足元の状況について語った。
〈大豆油糧日報2020年8月12日付〉