大豆たん白の用途は“肉の代替”から“主役”に、昭和産業が設備投資で生産能力1割アップ、商品拡充も〈大豆ミートビジネス最前線〉

昭和産業「まめたん」
昭和産業の大豆たん白事業は歴史が長く、1950年代前半から鶴見工場(横浜市)でスタートし、現在の鹿島工場(茨城県神栖市)では1990年から製造を開始した。

粒状大豆たん白を中心に、冷食、畜肉加工、食品加工、製菓製パン、水産加工など、幅広い業界で使われている。ボリュームが一番大きいのは冷食で、その次が畜肉加工だという。水産加工ではサケフレークなどにも使われている。最近は製菓用途でも増えているといい、「新たな加工用途が増えてきた」と最近の傾向について述べる。

2020年3月には、鹿島工場のラインへの設備投資を行ない、それにより生産能力は1割ほどアップしている。

昭和産業では、粒状大豆たん白をメインに製造・販売している。ユーザーニーズに応える機能性、形、食感、色(チキン、ポーク、ビーフ)の製品をそろえている。以前はソフトタイプが主力だったというが、現在の主力製品は、高吸水で水戻しが速く、食感が強いフレーク状の「ソイバリューHシリーズ」だ。

従来は、原料として粒状と粉状の大豆たん白を加工メーカーに販売し、用途は肉の代替としての役割だったというが、最近は大豆ミートとしての要望があり、「主役になりつつある」と印象を語る。

同社によると、「大豆ミート」商品用途は近年問い合わせが増えている。ヴィーガン、ベジタリアン向けに限らず、従業員の健康訴求などの観点から、企業や役所の食堂でも「大豆ミート」を使用したメニューが積極的に採用され好評価を受けており、今後更なる需要拡大が期待される。

〈自ら加工食品を提供する地位に、家庭用「まめたん」は大手スーパーにも採用〉
昭和産業の上期(2020年4~9月)の大豆たん白事業は2ケタ増と好調だった。4~5月は新型コロナの影響で内食需要が高まり、冷食の餃子を含め出荷が急増したという。外食用は厳しいが、末端の加工食品メーカー向けが多いことが伸長につながった。

家庭用で冷食や加工食品向けに大豆たん白が使われ始めているとし、「いまも4~5月の勢いは落ちていない。ブームではなく、今後も増えていくだろう」とさらなる伸長を期待する。

乾物としての大豆たん白単体ではバラエティー化を目指していく。大きいものや肉に近いもの、それらを使った加工食品や冷食まで、「総合的に供給できるようになりたい」と意気込みを語る。

同社は原料メーカーであるとともに、加工食品や冷食などのグループ企業を有している。「自ら加工食品を提供する地位に上げていきたい」としており、大豆ミートの餃子やハンバーグの加工をグループ会社や協力会社に依頼し、昭和産業として販売を行っていく考えだ。

家庭用新商品の大豆ミート「まめたん」は水で戻せるタイプで無着色のチキンカラーの大豆たん白を原料に使っている。9月1日に全国発売し、大手スーパーにも採用が決まったという。「あとは使う側がどれだけ理解して使ってくれるか」としており、特設サイトではレシピを掲載しており、シリアルのように使えることも提案している。

また、昭和産業は9月に大豆ミート入りのコーンポタージュ「美活ポタジェ 大豆たんぱくとコーンのポタージュ」を全国発売している。これら家庭用の大豆ミート商品は「ソイキッチン」シリーズとして展開しており、「大豆たん白を今後も拡充していきたい」と力を込める。

昭和産業「美活ポタジェ 大豆たんぱくとコーンのポタージュ」

昭和産業「美活ポタジェ 大豆たんぱくとコーンのポタージュ」

 
「既存の冷食、畜肉メーカー加工用に加え、最近は大豆ミートを使ったメニューがコンビニなどの総菜でも採用されはじめており、今後もニーズは高まっていくと思われる」と期待する。
 
〈大豆油糧日報2020年11月11日付〉