ハム・ソーメーカー各社、大豆たん白など使用の代替肉商品の展開を強化
ハム・ソーメーカー各社は今春から、大豆たん白などを原料に使った代替肉商品の展開を強化している。
2020年は量販店の売り場で代替肉商品をコーナー化する動きも目立ったが、春以降は新型コロナの感染拡大によって、需要がハム・ソーの主力商品に集中しており、代替肉商品を含む新商品が育成しづらい環境となった。
ただ、その中でも「コロナ禍で外食、コンビニの集客が減り、業務用はそれほど大きく伸長しなかった。一方で、家庭用は健康・環境といった意識の高まりを背景に非常に大きく伸びた。ここ半年の中で、前年と比べると購買金額が6倍ぐらい伸びた」(伊藤ハム)、といった声も出ており、ハム・ソーメーカー各社は中長期的にじっくりと商品を育てていく考えのようだ。
ハム・ソーメーカーは長年、畜肉製品の加工を手掛けており、味付けや成形など代替肉商品の加工にも生かすことができるさまざまなノウハウを持つ。
日本ハムは大豆やこんにゃくなど植物由来の原料を使用した「ナチュミート」、伊藤ハムは大豆たん白を原料に使った「まるでお肉!」シリーズ、丸大食品は大豆たん白を原料に使った「大豆ライフ」シリーズを発売している。
今秋以降も、日本ハムは「ナチュミート」の「ソーセージタイプ」「キーマカレー」など5品を、丸大食品も「大豆のお肉を使ったキーマカレー」「大豆のお肉を使ったハンバーグ」など10品の展開を継続している。また、伊藤ハムは今秋から、家庭用商品の「まるでお肉」シリーズとギフト商品の「大豆ミートのハンバーグ」を低コレステロールにリニューアルした。「まるでお肉!」シリーズは、「大豆ミートのナゲット」「大豆ミートのハムカツ」など7品をラインアップしている。
日本ハム「ナチュミート キーマカレー」
伊藤ハム「まるでお肉! 大豆ミートのナゲット」
〈たん白質摂取にも多様性求める、選ぶ楽しみを提供、バランスよい摂取が必要〉
そもそもハム・ソーメーカー各社が代替肉に参入したのはなぜか。日本ハムは開発の経緯について、「消費者の食の嗜好が変化しており、たん白質の摂り方についても多様性を求めるお客様の声が増えてきた。そこで、大豆たん白やこんにゃくなどを使用した植物肉の商品を研究・開発してきた」と振り返る。
同社は15年の業務用商品供給を皮切りに、植物肉に新たなおいしさと健康の可能性を追い求め、研究・開発を続け、品質に高い評価を獲得してきたという。そして今年になり、今までの商品開発で培ってきたノウハウを活かし、プラントベースのハムやソーセージ、加工食品を開発・販売するに至ったとしている。
伊藤ハムは参入理由について、「意識の多様化や世界的食肉需給問題を背景に、たん白質摂取の選択肢として『食肉』に加え、『大豆ミート』も選択肢として加えることで選ぶ楽しみをお客様に提供し、豊かな食生活の実現に貢献したいと考えているため」と説明する。
その上で、「将来的には、大豆ミートが肉・魚に次ぐ第3のたん白質摂取の選択肢として認知され、生活の一部となっていくように市場を育成していきたい」と意気込む。
丸大食品は、「海外では大手外食チェーンが代替肉市場に参入するなど、市場は伸長し続けている。世界と比較すると、日本では大豆ミートなど代替肉はまだ浸透していない状況だが、複数調査機関が今後の伸長を予測しており、世界的な市場拡大が見込まれている。大豆ミートを中心に外食チェーンやコンビニでの取り扱いが増えていることから、今後国内でも関心が高まると考えている」と参入理由を挙げる。
また、「たん白質の摂取に対しての意識も変化していることから、動物性だけでなく植物性のたん白質もバランスよく摂取できる商品が必要と考え、開発に取り組んだ。『お肉は好きだが健康も気になるという方に向けて、お肉の代替品をお届けします。』というコンセプトのもと、「日本人にとって健康的なイメージの高い『大豆のたん白質』を使用した、おいしい商品を提案している」と強調する。
〈大豆油糧日報2020年12月8日付〉