粉末プロテイン市場、「コロナ太り」対策で大豆由来のソイの伸びが顕著
サプリメントや飲料・デザート、菓子・シリアルなど、プロテインのラインアップは広がっているが、そのうち2019年の国内市場が約500億円(富士経済調べ)と見込まれるプロテインパウダー市場は、吸収の早い乳由来のホエイプロテインが8~9割を占め、アスリートやスポーツ愛好家を中心に支持されてきた。
ところが、新型コロナ感染拡大の影響による外出自粛やテレワークの普及による運動不足、栄養バランスの偏った食事など、巣ごもりにおけるダイエット需要の高まりから、吸収が遅く、腹持ちもいい、大豆由来のソイプロテインの利用が女性を中心に広がっており、存在感を高めている。
トップブランドである明治「ザバス」もソイの伸びの方が大きく、プロテインメーカーからもソイの伸びがより顕著という声が聞かれる。
明治の2020年度上期は、液体・粉体のプロテイン「ザバス」ブランドが伸長したという。昨年の緊急事態宣言の解除後からは運動不足の解消やダイエット需要の高まりがけん引した。粉末が33%増、ドリンクは14%増と伸長したが、中でも最も伸びたのが大豆原料の「ザバスソイプロテイン」だ。
松田克也社長は、「ソイプロテインは体内の消化吸収がゆっくりのため満腹感が持続しやすく、ダイエットに適しているといわれる。在宅勤務時間が増え、体型の引き締め需要が高まったことで、ソイプロテインを選ぶ人が増えた」と推測している。
〈女性が飲む習慣がつき、「ソイ=ダイエット・減量」のイメージ定着〉
また、プロテインを製造販売するアルプロンの今期(4月期)のソイプロテイン販売実績は、5~1月で20%増と好調だ。ホエイプロテインを含めたプロテイン全体でも10~15%増と2ケタで伸びているが、女性をターゲットにしている「ウェイトダウン」シリーズをはじめ、「ほかよりもソイが伸びている」(アルプロン)。
アルプロン「ウェイトダウンプロテイン」
伸長の理由については、「女性が飲む習慣がついてきており、たん白質が美容に良いというリテラシーがついてきた。女性向けのメディアもたん白摂取を推奨している」と分析する。「今後も女性向けの商品を拡大していき、女性にマッチしたものを提供する」と展望を語る。
アルプロンは2020年10月に、世界シェア1位の米国のプロテインブランド「オプチマムニュートリション」の販売を開始した。第1弾商品の「100%ホエイプロテインゴールドスタンダード」は順調に売れているといい、「4月から本格的に小売にも並んでいく」とする。同ブランドはまず売れ筋商品から揃えたというが、「女性向けにソイも展開していく」としている。
純国産のプロテインメーカーとして、日本初のプロテイン「100%ソイプロテイン」を発売した健康体力研究所は、直近では緊急事態宣言を受け、全体的に動きが鈍化しているとするが、「昨年秋ごろから顕著に大豆プロテインの動きが良い状況だ」とする。
市場全体のソイプロテインの伸びの要因については、「『ソイ=ダイエット・減量』というイメージが定着しているように思う。ライトユーザーになればなるほど、志向として、筋力アップよりもダイエットにニーズが強いと推測している」と述べる。
好調な「ウェイトダウンソイプロテイン」のシリーズ品として、2020年6月に「ウェイトダウンソイプロテインタブ」を発売した。投入した狙いは、「利用シーンによって、粉、タブレットを使い分けてもらうイメージ」だという。
健康体力研究所「ウェイトダウンソイプロテインタブ」
今後のソイプロテインを含めた展開については、「新規参入メーカーも増えてきており、他社との差別化を常に意識した商品展開に取り組んでいる」としている。
〈大豆油糧日報2021年2月18日付〉