タナカショク、豆腐の新タイプ商品を海外出荷、おつまみ豆腐「百一珍」は土佐の素材にこだわり完成まで14日間/田中幸彦社長インタビュー

タナカショク・おつまみ豆腐「百一珍」
高知の豆腐メーカー・タナカショクは、絹や木綿豆腐のみならず、チーズのような食感と濃厚なコクが特徴のおつまみ豆腐「百一珍」や、豆腐燻製スティック「百二珍」、豆腐ジャーキー「百三珍」を展開し、海外からの引き合いもある。タナカショクの田中幸彦社長に、これら商品の開発背景や商品のこだわりについて聞いた。
タナカショク・田中幸彦社長

タナカショク・田中幸彦社長

田中社長は、「約20年前から高知の人口減少を身に染みて実感するようになった。人口が減り、さらに1人が食べる量も減る。そこで県外へ商品を出荷することを考えた」と話す。
 
19年前に発売したおつまみ豆腐「百一珍」は、四万十町産フクユタカ大豆、室戸海洋深層水仕込みの絹ごし豆腐を下処理し、秘伝の漬けダレで長時間熟成させている。そこに、四万十町産「黄金生姜」や高知市産のごま、安芸市産ゆずなど厳選した素材を加え、仕上げている。醤油味、生姜味、ごま味、ゆず味、青のり味、山椒味の6種。要冷蔵で賞味期限は120日。
 
「『土佐』の素材にとことんこだわった。絹ごし豆腐を製造してから、完成まで14日間を要する」(田中社長)と話す。商品名「百一珍」には、100種もの豆腐料理の調理方法を解説する江戸時代の料理本「豆腐百珍」からヒントを得て、豆腐の新しい食べ方の「1番目」という意味を込めたという。
 
販売は、通販とホテルのレストランメニューなど業務用が中心だ。「『父の日』には、6種のセット商品の売れ行きが好調だ。お歳暮などにもおすすめ」だという。加えて、シンガポールにも業務用として輸出している。
 
〈非常食用の豆腐ジャーキー露出高まる、防災意識の高まり受けて〉

「百一珍」に続き、豆腐の燻製スティック「百二珍」、豆腐ジャーキー「百三珍」を開発・発売した。豆腐燻製スティックの新商品「102BAR」は、手軽なおつまみで、ビーガン対応商品となっている。
 
豆腐ジャーキーは、国産大豆使用の燻製専用木綿豆腐を、燻製専用ブレンドチップ、特殊な製法により、お肉のような食感に仕上げた。たん白質をしっかり摂ることができる。「豆腐ジャーキーは、イギリス向けに毎年、一定数量出荷している。日本食ブームもあって好評だ」と話す。
 
そのほか、豆腐ジャーキーは、グルテンフリータイプ、防災非常食用もそろえている。防災非常食用は、現行のパッケージでは5年間の長期保存が可能と表記しているが、「今年4月に実施した最新の検査結果では、さらに保存可能期間が延びる見込み」だという。アレルギー表示対象27品目中、当てはまるのは大豆のみで、非常時の食として貢献できる。国内では近年、集中豪雨などが頻発し、防災への意識の高まっているとし、「防災関連のカタログに掲載されるなど露出が高まっている。今後、販売増につながるのでは」と見ている。
 
今後の展開については、国内においてもヴィーガン食が広がっていく可能性があるとの見方を示し、「ヴィーガン対応商品のバリエーションを増やしていきたい」と意気込む。
 
〈大豆油糧日報2021年6月25日付〉