ハナマルキ 2021年度業績は前年並みの198億円、塩こうじは15%増の15億円

ハナマルキ・花岡俊夫社長
ハナマルキはこのほど、オンラインによる記者会見を開き、2021年度の業績について説明した。

全体の売上は前年並みの198億円となった。みそ領域は1%減の98億円、塩こうじを含む加工食品領域は1%増の100億円となり、そのうち塩こうじは15.4%増の15億円となった。これに対し、ハナマルキの花岡俊夫社長は、「残念ながら、みその出荷量が前年を下回った。家庭用は引き続き増えているが、業務用の落ち込みをカバーできなかった。売上も前年を下回ったが、昨年の9月以降は『追いこうじみそ』に注力してきた結果、1kgの販売単価が上昇した」とし、厳しいコロナ禍でも同社の予想を上回る「追いこうじみそ」の快走を称えた。

即席みそ汁に関しては、全般的に動きが活発だったとし、「家庭用の需要は増えているが、業務用の回復を達成できなかった。家庭用のスグ旨カップシリーズはフリーズドライのみそ汁でありがちな粉臭さがなく、生みそタイプに近いという評価もあるほか、小袋なしのカップなので、ごみが少なくて済むという観点などから、消費者の関心も高く、販売が増えて、売り場も広がっている」とし、スグ旨カップシリーズの好調さを印象付けた。

塩こうじは、マーケットとして十分に安定しているような状況ではないとしながらも、「『液体塩こうじ』だけは、どんな状況にあっても、販売が伸び続けている。家庭用、業務用問わず、販売が好調で、売上金額も伸びている」とした。

先日発表したみその値上げに関しては、「21年の後半あたりから、大豆だけではなく、即席みそ汁に使う具材などの調達コストがかなり上がってきており、販売を積極的に行いながら、価格の上昇を抑えてきたが、われわれの努力だけでは現行の販売価格の維持が厳しいと判断し、価格改定に踏み切らざるを得なかった」と述べた。

〈「追いこうじみそ」快走中、スグ旨カップシリーズも30%増の勢い〉
平田伸行マーケティング部長は、2021年の詳細な業績について説明した。みその生産高は前年比1.6%減の4万9,700tとなった。みその販売単価は0.6%増の197.2円/kgとなった。

「昨年9月に発売した『追いこうじみそ』が当初の想定を上回る出荷、売上で快走中だ。年明け以降も想定以上の売上を示している。ニュートラルでシンプルなパッケージに始まり、発売時にはテレビCMを打ち、レシピ動画「クラシル」でメニュー動画を流し、それから、インフルエンサーを起用して、SNS上で賑わせたほか、商品サンプリングにも力を入れた。営業の後押しもあり導入店数も当初の想定を上回っている。消費者からは『深いうま味がある』、『減塩を感じない』、『だしがなくても十分みそだけで味わえる』といった評価をいただいていることから、リピーターも増えてきていると見ており、手応えを感じている。22年もさらに伸びていく商材になると考えている」とした。

即席みそ汁に関しては、「スグ旨カップシリーズ全体で前年比30%増となった。アイテムの増加もあるが、『あげなす』、『長ねぎ』、『ほうれん草』も前年を上回っており、フタを開けたらお湯を注ぐだけ、ゴミが出ないという簡便性、扱いやすさに加え、具材の大きさ、味が支持されている。リピートにつながり、認知も着々と広がっているのではないかと考えている。スグ旨シリーズは今後もアイテムを増やしていく方針で、今春には『かぼちゃ』を新発売した。新アイテムの増加も考えながら、既存のアイテムも伸びていくと見ており、引き続き22年も伸長していくのではないか」とした。

塩こうじは、「売上が15億円に到達した。『液体塩こうじ』を軸として、粒タイプも伸びている。塩こうじのシェアを着々と広げている。コロナ禍でも、海外向けの『液体塩こうじ』は前年比で2倍の伸びとなっており、『液体塩こうじ』のグローバル展開が進んでいる」とした。

〈大豆油糧日報2022年2月10日付〉