欧州連合「EU産オリーブオイル&日本食材パーフェクトマッチ!セミナー」開催、試飲やパネルディスカッションを実施
冒頭、駐日欧州連合代表部通商部の小林恵上席通商担当官は、「日本とEUのEPA発行に伴い、多くの農産品が入ってくるようになった。オリーブ油に親しむ機会が増えることを期待している。日本の輸入オリーブ油の大半がEU産で、2020年は総輸入量の96%を占める」と紹介した。
また、EUのGI(地理的表示)制度についても説明した。PDO(原産地呼称保護)とPGI(地理的表示保護)の2つのマークがあり、PDOは少し厳しく、生産、加工、調理の全てが1つの地理的地域で行われていること、PGIは生産段階のうち1つが当該地域で行われていることが必要だという。「GIがあることで生産者は高品質の評判を得られる。GIは2.5倍の価格、付加価値が付くと言われている。消費者はGIロゴを見つけると、特別の方法で作られたことを確信して選択できる」と強調した。
小林氏によると、EUは全世界のオリーブ油の66%を生産している。9カ国で生産しており、スペイン、イタリア、ギリシャ、ポルトガルで99%を占めるという。2021・2022年のオリーブ油の生産量は210万tを見込むとしている。
〈オリーブ油はだしとの相性も良い、EUと日本のGIのコラボも提案〉
続いて、日本オリーブオイルテイスター協会の長友姫世会長、輸入商社のプリマヴェーダ大槻浩哉社長、高品質スーパーのエムアイフードスタイル商品統括本部商品部グロサリーグループグロサリー担当バイヤーの平出真吾氏が登壇し、スペイン、イタリア、ギリシャ、ポルトガル、フランス、クロアチア産のオリーブ油の試飲が行われた。
「日本市場におけるEU産オリーブ油の可能性と地理的表示の価値」をテーマに、パネルディスカッションも行われた。今後、日本でオリーブ油の消費量をどう増やせるかという議題で大槻社長は、「オリーブ油は2010年代には、10年平均で150%成長した成長期だったが、近年では成熟期に入ったと見ている。日本の家庭用油の約30%がオリーブ油で、ごま油や菜種油も歴史は深い。オリーブ油を差別化して広げていくかを考えないと駄目で、健康と美容がキーワードとなる。オリーブ油が健康やダイエットにどう結びつけるかが今後の消費を伸ばすキーワードになると思う」と見解を述べた。
長友会長は、「EUのオーガニックの基準は厳しい。『ユーロリーフ』というオーガニック認証ラベルの商品が日本に入っているので、メリットを感じてもらえば。日本食との相性も大切で、だしとオリーブ油の相性はすごく良い。おでんにかけるだけでもグッとコクが出て、おいしくなる。日本食材とのパーフェクトマッチも考えたい」と述べた。
GIやオーガニック認証などを日本市場に広めるにはどうすべきかという議題では、大槻社長は、「輸入業者としては輸入しやすいが、EUのオリーブ油が高付加価値だと日本まで届けられていない。ストーリーをどうやって付加価値と結び付けて消費者に伝えるかが大事だ。機能的価値や情緒的価値に加え、精神的価値ということで、サステナブルや地球的規模のエシカル消費といった辺りを訴求し、新しい世代にも結び付けて提案できる形になれば」と述べた。
平出氏は、「当社でもEUのGI商品を取り扱っているが、日本のGIの青森のいぶりがっこなどとコラボすれば新しい何かが生まれるのではないか」と提案した。
レシピ提案では、「リストランテアクアパッツァ」オーナーシェフの日髙良実氏が考案したケータリングメニューの「ポルチーニと蓮根のアランチーニ」と「ポーランド産牛肉のカツレツパニーノ」が試食とともに紹介された。
〈大豆油糧日報2022年2月28日付〉